5. 収入が少額でも毎月申告する
収入認定額は、申告された収入をもとに計算されます。ここでは、申告で提出する資料と、給与明細の見方を確認します。
5.1 給与明細書または給与証明書で申告する
生活保護を受けている世帯は、収入がある場合、少額であっても毎月申告する必要があります。申告の時期や提出する書類は、担当する福祉事務所の指示に従いましょう。
会社などに継続して勤務している場合、給与収入を確認する資料として、原則として給与明細書または給与証明書を提出します。銀行口座の記録だけでは、総支給額や社会保険料、税、通勤費などの内訳を確認できない場合があります。
新たに働き始めた場合、その給与を当月または翌月のどちらの収入として計上するかは、個別の状況によって異なる場合があります。申告書の提出期限や、どの月の保護費に反映されるかは、担当する福祉事務所に確認する必要があります。
5.2 給与明細は総支給額・実費・控除の順に確認する
給与明細と保護費の計算を照合するときは、次の順に確認すると整理しやすくなります。
- 総支給額:基本給、各種手当、残業代などを確認します。
- 必要経費:社会保険料、所得税、労働組合費、通勤費などを確認します。
- 基礎控除など:給与額に対応する基礎控除と、対象となる追加控除を確認します。
- 収入認定額と保護費:保護決定通知書などに示された金額と照合します。
計算が合わない場合は、給与明細書、収入申告書の控え、保護決定通知書を用意したうえで、どの収入と控除が反映されているかを福祉事務所へ確認するとよいでしょう。
6. 給与が増えた月は金額だけで判断しない
給与が増えた月に収入認定額が最低生活費を上回っても、それだけで保護が終わるとは限りません。収入の変動の扱いと、停止・廃止の違いを確認しましょう。
6.1 収入が変動する場合は前3か月程度を参考にすることがある
シフト勤務や短期就労では、残業や勤務日数によって給与が毎月変わることがあります。収入認定は月額で行うことが原則ですが、その月の収入を確実に推定できない場合は、前3か月程度の収入額を標準として認定することがあります。
このため、ある月の収入認定額が最低生活費を上回ったとしても、その1か月だけで今後の保護が直ちに廃止されるとは限りません。一時的に勤務日数が増えたのか、今後も同程度の給与が続くのかによって扱いが変わります。
給与に変動がある場合は、毎月の給与明細を提出するとともに、勤務日数や雇用契約の変更、繁忙期による一時的な残業など、収入が変わった理由も福祉事務所へ伝える必要があります。
6.2 一時的な収入増加は停止、継続的な増加は廃止の判断につながる
生活保護の「停止」と「廃止」は同じではありません。厚生労働省の実施要領の取扱いを定めた通知では、収入が増えて保護を必要としなくなった場合について、今後もその状態が続く見込みを含めて取り扱いを分けています。
- 停止:一時的に保護が不要になったものの、おおむね6か月以内に再び保護が必要になると予想される場合など
- 廃止:定期収入が恒常的に増え、特別な事情がなければ保護を再開する必要がないと認められる場合など
保護が要らない状態がおおむね6か月以内で終わる見込みなら停止、6か月を超えて続く見込みなら廃止が目安になる3/3
出所:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」をもとにLIMO編集部作成
定期収入が増えていても、その状態が続くか確実ではなく、しばらく生活状況を確認する必要がある場合は、停止の対象となることがあります。一方、臨時収入であっても、おおむね6か月を超えて保護を必要としない状態が続くと見込まれる場合は、廃止の対象となることがあります。
実際の決定は、給与額だけでなく、収入の性質や継続性、世帯の最低生活費などをもとに福祉事務所が行います。
6.3 給与が増えたときは3つの順で確認する
筆者は、給与が増えた場合、給与額だけで生活保護の終了を判断せず、次の順に確認することが重要だと考えます。
- 収入認定額を確認する:給与から必要経費や基礎控除などを差し引いた後の金額を確認します。
- 最低生活費との差を確認する:収入認定額が、世帯の最低生活費をいくら下回る、または上回るかを確認します。
- 収入が続く見込みを確認する:雇用契約、勤務日数、シフト、残業などから、同程度の給与が今後も続くかを確認します。
この3点を分けると、給与が増えた月の保護費が変わる理由と、今後の停止・廃止に関する判断を整理しやすくなります。
7. 収入が変わる月は、続く見込みと申告の内容をあわせて確かめる
収入が月ごとに変わる場合は、単月の給与額だけでなく、同程度の収入が続く見込みも確認されます。保護が要らない状態がおおむね6か月以内で終わる見込みなら停止、それを超えて続く見込みなら廃止が目安です。
収入が少額の場合も毎月正確に申告し、給与明細と保護費の決定内容を照合しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について(局長通知)」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」
- 厚生労働省「家計改善支援事業従事者研修資料 生活保護受給者向け家計改善支援事業について」
- 厚生労働省「収入については、全額を収入として認定することが原則ですが、例外として、収入として認定しないものや、収入から控除できるものがあります」
小西 雅美