2019年10月10日に行われた、株式会社安川電機2020年2月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社 代表取締役社長 小笠原浩 氏
2019年度 上期 実績(連結)
小笠原浩氏:どうもみなさんこんにちは。本日は大変お忙しいなか安川電機の2019年度第2四半期の決算説明会に参加いただきまして、どうもありがとうございます。社長の小笠原から2019年度の上期業績についてご報告させていただきます。
まず2019年度上期の業績概要でございます。期初には中国の経済政策により持ち直す動きが見られましたが、米中貿易摩擦の長期化による影響の拡大や、半導体関連の投資先送りなどによるグローバルでの設備投資に慎重な姿勢が強まったことから、総じて厳しい状況となりました。
この結果、好調であった前年同期に対して、今期の業績は減収減益となりました。売上高は前年同期比で14.7パーセント減の2,118億円、営業利益は59.2パーセント減の125億円となりました。経常利益は58.2パーセント減の128億円、四半期純利益は66.3パーセント減の88億円となりました。
2019年度 上期 実績(セグメント別)
セグメント別の状況でございます。モーションコントロールでは、インバーターが底堅く推移したものの、ACサーボにおいて需要低迷の影響を大きく受けました。
またロボットについても、自動車関連の米国などで弱含む動きが見られたことに加えて、中国において自動化投資に勢いを欠く状況が継続いたしました。
これらのことから、モーションコントロール・ロボットはともに減収減益となりました。システムエンジニアリングについては、新規連結の影響により増収となっております。
なお、全社の営業利益率は前年同期から約6ポイント減少し5.9パーセントとなりました。
主要事業の概要_モーションコントロール
まずはモーションコントロールの状況でございます。ACサーボは低迷する市場環境を受けて、生産設備の高度化自動化に対する需要が減速したことから、売上高は減少しました。営業利益は操業度の悪化などにより減少しました。
一方、インバーターは中国での環境・規制対応のための設備投資や社会インフラ関係の投資が継続したことに加えて、米国におけるオイル・ガス関連の需要が堅調に推移したことから、売上高・営業利益ともに底堅く推移いたしました。
主要事業の概要_ロボット
次にロボットの状況でございます。売上面においては、溶接・塗装ロボットなどが自動車関連向けで日本が底堅く推移した一方、米国などで伸び悩むなど強弱混在の状況となりました。とくに中国においては、米中貿易摩擦の影響を大きく受け、自動化投資で勢いを欠く状況が継続いたしました。
利益面では、売上減少や在庫調整により操業度が悪化し、前年同期から減少いたしました。
主要事業の概要_システムエンジニアリング
システムエンジニアリングの状況でございます。環境・社会システム事業においては、太陽光発電品のパワーコンディショナーの売上が伸び悩んだ一方、社会システム分野では国内における上下水道電気システム関連の売上が底堅く推移いたしました。
産業用オートメーションドライブ事業においては、鉄鋼プラント関連の案件後倒しにより、売上が減少したものの、港湾クレーン向けが堅調だったことから、事業全体では総じて底堅く推移いたしました。
営業損益は前年同期と比べ、僅かに悪化しております。
事業セグメント別売上高構成比
事業セグメント別の売上高構成比でございます。前年同期に比べ需要減によってモーションコントロールが減少した一方で、ロボットおよびシステムエンジニアリングが増加いたしました。
なお、その他セグメントにつきましては組織変更にともなうセグメント区分の組み替えの影響により、減少しております。
仕向先別売上高(2018年度 上期 2019年度 上期)
次に、仕向先別の売上高でございます。中国・アジアを中心にすべての地域において、売上高は前年同期比で減収いたしました。
中国においては環境規制対応のための設備投資や、社会インフラ関係の投資が行われたほか、期初には金融緩和などの財政政策によって持ち直す動きが見られましたが、米中貿易摩擦の長期化にともなう影響拡大により、需要は大きく減少いたしました。
アジアは韓国を中心に、半導体関連の設備投資減少の影響を大きく受けました。そのほかの地域については、米州におけるオイルガス関連の需要や、国内の社会インフラ関連需要は底堅く推移いたしました。
一方、半導体関連需要は国内、米州を中心に依然として弱含んだ状況が継続したことに加え、欧州においては製造業全体の景気悪化の影響を受け、自動車関連を中心に設備投資を控える動きが見られました。
仕向先別売上高構成比
仕向先別売上高構成比については、米州欧州がそれぞれ1ポイント上昇した一方で、中国が3ポイント、中国を除くアジアが2ポイント減少したことから、海外売上高全体の比率は前年同期から3ポイント減少し、65パーセントとなりました。
営業利益増減要因分析(2018年度上期 2019年度上期)
営業利益の増減要因分析でございます。2019年度上期の営業利益は2018年度上期から181億円減少し、125億円となりました。
それぞれの要因でございます。為替影響はマイナス13億円、売上減による利益減はマイナス121億円となりました。付加価値の減少はマイナス48億円、主力製品における売上減や在庫調整などによる操業度悪化が大きく影響いたしました。
なお、付加価値減に含まれる未実現利益は全体でプラス21億円でございます。最後に、経費の減少についてはプラス2億円となりました。
この中にはスロベニアのロボット工場稼働にともなうコスト増や、i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)のビジネスモデル確立に向けた組織再編などの先行投資分を含んでおります。
2019年度上期における取り組み
2019年度上期における取り組みの状況でございます。上期におきましては、新市場攻略を狙ってロボットのラインアップを強化いたしました。
防じん・防滴タイプの人協働ロボット、さまざまな分野の自動化に貢献する新型多用途適用型ロボット、さらに異物混入リスクを低減させた人協働ロボットといった3つの大きいラインアップを強化しております。
さらにESG情報の開示強化で、統合報告書「YASKAWAレポート2019」、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しております。
2019年度 通期見通し(連結)
続きまして、2019年度の通期見通しでございます。足元の受注動向では、米中貿易摩擦の長期化などにより、グローバルで設備投資が鈍化していることに加えて、為替も想定より円高に推移しているために、2019年4月11日発表の期初予想を下方修正いたします。
売上高は期初予想の4,650億円から4,200億円に、営業利益は465億円から250億円に、経常利益は480億円から260億円に、当期純利益は350億円から190億円に、それぞれ修正いたします。
2019年度 通期見通し(セグメント別)
次にセグメント別の見通しでございます。修正の内訳として、モーションコントロールについては売上高が期初予想の2,070億円から1,813億円に、営業利益が306億円から204億円に修正いたしました。
ロボットについては、売上高が期初予想の1,757億円から1,575億円に、営業利益が175億円から66億円に、システムエンジニアリングについては、売上高が期初予想の546億円から569億円に、営業利益が7億円からプラマイゼロと、それぞれ修正いたしました。
営業利益増減要因分析(2018年度 2019年度予想)
2019年度の通期予想における営業利益の増減要因でございます。2019年度の営業利益は2018年度から248億円減少し、250億円を計画しております。
それぞれの要因でございますが、為替によるマイナス41億円、売上減による利益減は、モーションコントロールを中心に売上減少を見込み、マイナス148億円を予想しています。
付加価値の減少分は主に売上減による操業度悪化を織り込み、マイナス70億円を予想しています。なお、付加価値減少分に含まれる身実現利益は、全体でプラス8億円です。
繰り返しになりますが、経費の減少は、事業再編などによって販売管理費の抑制に努める一方で、i3-Mechatronicsのビジネスモデル確立に向けた先行投資などを計画し、プラス11億円でございます。
2019年度下期における取り組み
2019年度下期における取り組みでございます。大きくi3-Mechatronicsのビジネスモデルの確立ということで、開発力の強化につきましては、セル生産を効率化する「YRMコントローラ(仮称)」があります。
これはロボットとモーションを両方動かすコントローラでございます。このコントローラの開発を加速し、IIFES展、国際ロボット展での参考出展を予定しております。さらに、安川テクノロジーセンタ開設に向けて準備を加速してまいります。
販売力の強化につきましては、子会社が担当してきたサービス事業を取り込み、迅速なソリューション提案と製品品質の更なる向上を目指します。安川エンジニアリングを吸収することによって、サービス事業に取り込みます。
さらに、半導体市場の立ち上がりに向けた新製品、新機能を持った製品の投入準備をしております。
生産力の強化につきましては、安川ソリューションファクトリ生産方式を中国のACサーボ工場および国内のインバータ・ロボット工場へ展開してまいります。
同時に、今年から進めている「デジタル経営」による経営基盤の強化ということで、リアルタイムな経営管理と先手を打つ経営スタイルで、IT活用によるデータの「視える化」を推進してまいります。簡単ですが、以上が今回の発表の内容でございます。