日本電産の2016年3月期決算説明会に参加

日本電産(6594)は2016年4月25日に2016年3月期決算を発表し、その翌日に都内で決算説明会を開催しました。今回の説明会では、中期計画の達成に向けて重点2事業(車載及び家電・商業、産業用)の強化が着実に進展していることが改めて確認できました。

実績未達は一過性要因による

2016年3月期実績は3期連続で過去最高益を更新しましたが、利益は会社計画に対してやや未達でした。スマホ用触覚デバイスの客先サイドの需要が想定以下となり、同事業の減損を行ったことが主因でした。

説明会で永守重信社長は、マーケットの見通しを見誤ったことを率直に認める一方、同事業は「水もの」(収益変動が激しいという意味)であるため、中期計画には同事業の収益寄与を過大には織り込んでいないとコメントしていました。このため、前期の同事業の不振を過度に悲観する必要はないと考えられます。

重点2事業の説明に多くの時間が割かれた

今回の説明会でも、実績や今期見通しといった短期動向よりも、より多くの時間が割かれたのは中期見通しに関する説明でした。

永守社長は、M&Aを想定しない自律成長でも、2021年3月期には車載は5,000億円超、家電・商業・産業用については4,000億円超、両事業合計で約1兆円の売上高が視野に入ってきたとコメントしており、また、M&Aについても案件を精査しながら継続する考えが示されたため、2021年3月期に全社売上高で2兆円を目指すという目標には説得力が感じられました。

利益面でも、重点2事業の営業利益率は2016年3月期第4四半期に初めて10%を超えており、今後も高シェアを獲得できる分野に絞り込んで成長を目指すとされています。そのため、「売上成長と収益率の改善を両立させる」という目標についても期待が持てそうです。

説明会が大盛況である理由を深読みすると・・・

正確にカウントしたわけではありませんが、今回の説明会の参加人数は300名超の大盛況でした。電機業界の売上高トップの日立製作所(6501)の最近の決算説明会と比べると、同社の説明会の参加者数はほぼ同程度、熱気はそれを上回るという印象です。

日立製作所の売上高は約10兆円弱、一方、日本電産は1兆円超と大きな開きがありますが、時価総額は日立が2.6兆円、日本電産が2.4兆円とほぼ同じです。そう考えると、同程度の参加者数には納得がいきます。熱気の違いは、おそらく、成長性への期待値の差ではないでしょうか。

ちなみに、説明会が大盛況な時は「今がピークであるリスク」に注意が必要な場合がありますが、中期経営目標の説得力の高さからセキュラーグロース(長期成長)企業と捉えることが可能であるため、そうしたリスクを現時点では懸念する必要はないと考えられます。

【2016年4月28日 投信1編集部】

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