これは後々わかったことなのですが、年長の1年間は就学後の進路を決定するために「市区町村の子育て支援課との連絡会」「教育委員会との面談」「小学校校長との面談」などさまざまなイベントがあります。

そして親にとって1番の関心ごとといえるのは、小学校での子どもの居場所をどうするのかということ。

通常の一斉授業が行われる「普通級」にするのか、もしくは定員が8名までで特別な支援を必要とする子どもが在籍する「特別支援学級」にするのか…。

普通級に通える場合はいいのですが、我が家の息子はとても45分の授業を皆と同じく行うことはできないと思いました。

「息子には特別支援学級の方が合っている」と夫婦で話し合って決めたわけですが、そうなると年長の1年間のスケジュールはさらにハードに!

保育所や小学校との定期的な連絡相談会はもちろん、加えて「小学校の特別支援学級の見学」「臨床心理士による発達検査」など、仕事を休んで行かなければならないイベントが多く、しかもそのほとんどが平日。
夫はその度に会社を休み、面談や連絡会に参加するという1年間でした。

特別支援学級に在籍するために必要な「診断」とは

息子の居場所として特別支援学級という選択肢を考え始めた私たち夫婦は、さまざまな面談会で驚くことを知ります。

それは「特別支援学級に在籍するためには発達障害であるという診断が必要である」ということでした。

特別支援学級に在籍するためには、それほど「日常生活で困っている」ことを証明する必要があり、その手段として最も合理性の高い方法が医療機関による発達障害の診断になるわけです。

我が家の息子はADHDの診断が下り、その診断書を市の教育委員会や小学校に提出することで特別支援学級への在籍が許可されたといった流れです。

特別支援学級を視野に入れるなら「年長までに」診断を

ここで大切なことは、特別支援学級を考えている場合はできるだけ「年長までに」医療機関の受診・診断を受けることが重要ということ。

私の住んでいる市では、年長の1年間で4回(5・8・11・2月)の就学審議委員会(就学指導委員会)が開催され、そこで「普通級で大丈夫か」「支援級が最適か」などが話し合われます。(日程などは市区町村により異なります)

その就学審議委員会のときに通常であれば子どもの診断書を持参するのですが、もしも診断書がない場合、希望しても支援級に在籍できない場合もあるのだそうです。

支援級は1クラス定員8名なので、どうしても「より支援が必要」と思われる子どもを優先的に受け入れる傾向があります。

そのため、診断書がない場合やグレーゾーンの子どもたちは、定員割れしてしまう可能性が高まるとも考えられます。

「特別支援学級に在籍させたい」という気持ちがあるのであれば、就学審議委員会が開かれる年長の春までに、医療機関を受診して医師の指示に従うようにするとスムーズです。

医療機関への受診は思い立ったらすぐ実行!

先ほどもお伝えしたように、私が住んでいる町は待機児童もいないくらいの田舎町。

そんな土地ですら、医療機関を受診するために1〜2カ月待ちましたので、人口が多い都市部になればウェイティング期間が増えるといえるでしょう。

私の夫はもともと「病院で診断されたら我が子が障害児になってしまう!」と医療機関への受診を拒んでいましたが、結果的に受診することで親である私たち夫婦の視野が広がり、より子どもに適した環境を作ってあげられることにつながりました。

子どもはどの子も、誰にも負けない素晴らしいところを持って生まれてきています。

ただ、脳の先天性な機能障害によってさまざまな生きづらさを感じてしまうのが、発達障害やグレーゾーンの子どもたち。

受診は勇気のいることかもしれませんが、できるだけ大人の私情を挟まず、我が子にとって「いま何が1番大切なのか」じっくりと考えてみませんか。

広瀬 あゆみ