さて、32年前のブラックマンデーは世界に波及しました。日本も例外ではなく、翌日(10月20日)の東京市場は大暴落となりました。この日の日経平均株価の下落率▲14.9%は、今でも1日に記録した最大の下落率として記録されています。そして、日本だけでなく、世界中の金融市場を大混乱に陥れました。それが、この「ブラックマンデー」でした。
ちなみに、あくまでも仮定の話になりますが、現在のNYダウがブラックマンデーと同じ下落率になると、1日で約▲6,100ドルの下落、日経平均株価の場合は約▲3,400円の下落となります。
ただし、現在では個別株の値幅制限が強化されたため、ここまでの大暴落発生はあり得ないと考えられます。仮に、当時のような大暴落が起きそうならば、サーキットブレーカー(強制的な取引停止)が発動される可能性もあります。
現在でも不明なブラックマンデーを引き起こした主要因
ここで重要なことは、ブラックマンデーを引き起こした理由が未だに不明ということです。
確かに、今となっては、米国の「双子の赤字」に対する懸念、FRB金融政策の不透明さ、ドル高に対する不安などが背景とされていますが、ハッキリ言って後づけの理由(こじつけ)に過ぎません。
これらの懸念材料は、ブラックマンデー発生のずっと以前から指摘されており、しかも、当時は“過度な懸念は不要”という楽観的な見方が大半でした。その意味で、ブラックマンデーは何の前触れもなく、突然起きたと言えましょう。
実は、1929年10月の株価大暴落も(10月24日の「ブラックサースデー」)、始まりはある日突然に起きたものでした。
NY発の株価暴落は10月を含めて「秋」が多い
ブラックマンデーから32年が経ち、大暴落の記憶も薄れつつあります。しかし、この32年間を振り返っても、ブラックマンデーほどではないにせよ、株価暴落は度々起きています。11年前のリーマンショックがそうでしたし、昨年2018年に起きた一連の大幅下落もそれに該当するかもしれません。こうした株価下落は、いつまた起きるかわかりません。
最後に、前掲したNYダウ下落記録(下落率、下落幅)を見ると、ブラックマンデーを含めて10月の日付が意外に多いことが分かります。少し広義に見ても、その大半が「秋」に起きています。また、もう一つの特徴は、一度暴落が起きると、短期間に何度か起きていることです。
NYダウが史上最高値を更新するのが珍しくなくなり、日経平均株価も再び23,000円台をうかがう今だからこそ、年に1度はブラックマンデーを思い出すことが必要と言えましょう。そして、今年は「暴落の秋」にならないことを祈るばかりです。
葛西 裕一