4. 金利だけ見ると、米ドル定期は魅力的に映る
外貨預金が注目される理由の1つに、円預金より高い金利があります。
金利だけ見ると、米ドル定期は魅力的に映る3/4
出所:auじぶん銀行「円定期預金」「外貨定期預金」をもとにLIMO編集部作成
図で示した通り、auじぶん銀行の例では、円定期預金の金利が期間を問わずおおむね0.5%であるのに対し、米ドル定期預金は1年もので3.6%、短期のものではさらに高い金利が設定されています。
ただしこの金利差だけで判断してしまうと、ここまで見てきた為替手数料や、為替が円高方向に動いた場合のリスクが見えなくなってしまいます。
金利が高いほど魅力的に見えるのは当然ですが、実際に手元に残る金額は、金利・為替差益・為替手数料をあわせて考える必要があります。
4.1 ご参考:金利・手数料を織り込むと損益分岐点は?
それでは、実際に金利と為替手数料を踏まえると、どこまで円高が進むと損益がマイナスに転じるのかを試算してみます。
1ドル156円で100万円分の米ドル定期預金(1年、年3.6%)に預け入れ、為替手数料が片道12銭かかると仮定します。
為替手数料と金利を織り込むと、損益分岐点は?4/4
出所:auじぶん銀行「外貨定期預金」をもとにLIMO編集部作成
図で示した通り、1年後の仲値が156円のまま変わらなければ、金利分がそのまま利益になり、為替手数料を差し引いても2万7000円程度のプラスになります。
仲値が153円まで円高が進んでも、金利がその分を補ってわずかながらプラスを維持できます。
しかし仲値が151円89銭を下回ると、金利で為替手数料と円高分をカバーしきれなくなり、損益はマイナスに転じます。
仲値が150円まで円高が進んだ場合は約1万2000円のマイナス、147円まで進めば約3万2000円のマイナスと、円高が進むほど目減りは大きくなります。
つまり、年3.6%という高めの金利があっても、預け入れ時の仲値から4円程度円高が進むと、金利分だけでは為替手数料と円高の影響を打ち消しきれなくなる計算です。
5. 為替差益と利息、税金の扱いは別物
外貨預金で得られる利益には、利息と為替差益の2種類があり、税金の扱いも異なります。
5.1 利息は20.315%の源泉分離課税
外貨預金の利息には、通常の円預金と同じように、所得税・住民税をあわせて20.315%の税金が源泉分離課税として自動的に差し引かれます。
源泉分離課税のため、利息について改めて確定申告をする必要は原則ありません。
5.2 為替差益は雑所得として総合課税
一方、預け入れ時と払い戻し時のレートの差から生じる為替差益は、雑所得として給与所得などほかの所得と合算し、総合課税の対象になります。
給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要とされていますが、この場合も住民税の申告は別途必要になる点に注意が必要です。
利息は自動的に税金が差し引かれる一方、為替差益は自分で申告が必要になる場合があるという点は、見落とされがちなポイントです。
同じ通貨・同じ金額でも、窓口かネットか、キャンペーンの対象かどうかで、損益の分かれ目になる為替水準は大きく変わります。
資産を円だけでなく外貨でも持ちたいと考える場合は、金利表示だけでなく、為替手数料や税金の扱いまで含めて、事前によく確認しておくことが大切です。
6. まとめ
ここ数年のような円安局面では、米ドルを保有しているだけで為替差益が生まれる場面もありました。
しかし外貨預金には、預け入れ・払い戻しの両方でかかる為替手数料という見落としやすいコストがあり、その水準は金融機関によって大きく異なります。
手数料の水準次第では、為替がまったく動かなくても、あるいは円高が少し進んだだけでも、元本割れにつながる可能性があります。
金利や過去の為替差益の実績だけでなく、手数料や税金の扱いまで確認したうえで、慎重に判断することが求められます。
※外貨預金は元本や利回りが保証された金融商品ではなく、為替の変動や手数料によって元本割れするリスクがあります。本記事は特定の金融機関・金融商品の利用を推奨するものではなく、情報提供を目的としたものです。実際の利用にあたっては、各金融機関の最新の商品概要等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。
参考資料
- 七十七銀行「米ドル対円相場(仲値)一覧表(2021年)」
- 七十七銀行「米ドル対円相場(仲値)一覧表(2026年)」
- 三菱UFJ銀行「外貨預金の為替手数料」
- auじぶん銀行「外貨定期預金」
- auじぶん銀行「円定期預金」
- auじぶん銀行「春の為替手数料0銭キャンペーン」
- 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
- 国税庁「No.2230 源泉分離課税制度」
- PayPay銀行「外貨預金の税金」
和田 直子
