株式市場の振り返り-日銀の追加緩和見送りで急落となり、4日続落に

2016年4月28日(木)の東京株式市場は後場に急落となり、これで4日続落となりました。日経平均株価は前日比▲3.6%の下落、TOPIXも▲3.1%の下落で引けています。また、東証マザーズ総合指数も▲2.6%下落する反落となりました。

日経平均株価は、日銀の追加緩和に対する期待感などから前日比+148円高で寄り付いた後、前場は一時+281円高まで上昇する場面が見られました。しかし、日銀が金融政策の現状維持(追加緩和なし)を決定すると、後場は一気に急落して推移し、一時は▲637円まで下落しています。結局、ほとんど戻すことなく、大引けは▲624円安となる16,666円で終わりました。

東証1部で上昇したのは228銘柄、値下がり1,681銘柄、変わらず41銘柄でした。東証1部の出来高は31億5,932万株、売買代金は3兆1,868億円(概算)となっています。売買代金が3兆円を超えたのは、SQ算出日を除けば、2月17日以来となりました。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種全てが下落。金融株が大きく売られる。

東証1部の33業種全てが下落しました。下落率の大きかったのは、証券・商品▲7.9%、銀行▲6.3%、海運▲5.5%、保険▲5.5%、鉄鋼▲4.8%、その他金融▲4.7%、不動産▲4.7%などです。金融株が大きく売られていますが、円高が急速に進んだこと等から、輸送用機器▲3.5%や精密機器▲2.8%なども大幅下落しています。一方、下落率が小さかったのは、水産・農林▲1.4%、小売▲1.6%、空運▲1.6%などでした。

個別銘柄では、日経平均株価への指数寄与度の大きいファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンクグループ(9984)等が大幅下落となった他、トヨタ自動車(7203)や富士重工(7270)などの自動車株も大きく値を下げています。また、決算発表でネガティブサプライズがあった日野自動車(7205)が急落しました。数少ない上昇銘柄の中では、花王(4452)、富士フイルムホールディングス(4901)、キーエンス(6861)などが目立って値を上げました。また、アルプス電気(6770)や村田製作所(6981)など電子部品株の一角が買われています。

本日のポイントと注目テーマと関連業種-閑散相場が予想される中、目先は内需関連に注目するしかない

最早、急落した28日の株式相場の詳細を述べるのは不要かもしれません。27日付の当マーケットコメントで、“黒田総裁のゼロ回答に対する心の準備も必要かもしれない”旨を記しましたが、本当にゼロ回答になるとは想定外です。今回は、金融政策決定会合後の記者会見でも、何らリップサービスがなかったため、正真正銘のゼロ回答と言っていいでしょう。

日銀に打つ手がなくなったのか、それとも、伝家の宝刀を抜かなかっただけなのか、現時点ではわかりません。ただ、タイミングを逸した金融政策は、その効果が小さくなるだけです。今回の追加緩和見送り後の株価急落に対しては、勝手に過剰な期待を抱き、勝手に過剰なほど失望したという“自作自演”の見方もありますが、株式市場の失望感が大きいことに疑いの余地はありません。そう言えば、今から39年前に沢田研二が歌って大ヒットした歌謡曲『勝手にしやがれ』を思い出しました。“♪寝たふりしてる間に出て行ってくれ~”というフレーズが空しく聞こえます。

さて、日銀に梯子を外された株式相場ですが、まだ希望がないわけではありません。次の期待は、政府による国内景気対策になるでしょう。具体的な参院選挙の日程が決まりつつある中、補正予算を含めたどのような景気対策を打ち出してくるのか、気を取り直して注目しましょう。

そのような状況の下、5月2日(月)の株式相場は、連休の端境期ということもあり、閑散が予想されます。閑散ということは、値動きが激しくなる可能性があり、28日以上の下落が起きても不思議ではありません。こういう時は、個人投資家も様子見に徹して欲しいと思いますが、強いて言うならば、為替影響の小さい内需関連、とりわけ、トイレタリーセクターに注目したいところです。

【2016年5月1日 投信1編集部】

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LIMO編集部