図表1は欧米亜各国の週当たり平均労働時間のデータです。これを見ると、アジア諸国の労働時間は欧米諸国よりも長くなっています。
成長著しい国々の労働者が長時間労働するのですから、ますます日米欧はアジア諸国に劣後する可能性があります。週あたりではさほど違いがないように見えますが、日本と中国の労働時間差を年換算すると、中国の労働時間は日本よりも約11日も長くなります。
筆者は意味のない長時間労働には反対の立場ですが、アジアの労働者が給料ファーストで転職し長時間労働を厭わないとすれば、当面アジア優位は続いていくでしょう。
日本人の若手はどうすべきか
さて高齢化が急速に進む日本ですが、労働者不足が予想されているにもかかわらず、給料が上がるという話はほとんど聞かれません。こうした中では、日本人労働者のメンタリティも、アジア人並みに変わって行く必要があると思います。
つまり、自らの能力や市場価値をしっかり判断した上で、より高い給料がもらえるキャリアパスを築けるように、社会人になる前から意識しておくべきです。もっとも、学生が一斉に就職活動をする日本の“就社文化”の中では、そういった意識を醸成するのは困難かもしれません。
しかしながら、私が経営者なら、1社目で社会人教育をしっかり受けた野心ある人材を多少高い給料を払ってでも雇うでしょう。その方が学卒を直接雇用するよりも、教育コストが低く抑えられ、より業績に貢献すると考えられるからです。
成長力が鈍化する日本の大企業においても、早晩人材引き抜き合戦が進むに違いありませんから、読者の方にはその船に乗れる人材になれるよう頑張ってほしいと思います。
ただし、言わずもがなですが、そうした若手のモチベーションを逆手に取るブラック企業には要注意です。
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