ひっきりなしに泣き叫ぶ赤ちゃんをあやしたり適当に遊ばせたりしながら、「まだなの?」とイライラしながらひたすら順番を待つ100人超のお母さんたち。中には、これから出産を控えて大きなお腹を抱えているお母さんも。とにかくお母さんも担当者もこの会場にいる人、全員が辛そうなのです。その光景はまるで、この「待つ」という苦行を乗り越えた母親だけが働くことができる我慢比べ大会のようでした。
筆者の番号は12時近くになっても呼ばれません。授乳やオムツ替えは公民館脇スペースでできたものの、自分のお昼ご飯も持ってきておらず、オムツも最小限しか持参していませんでした。ただ待つだけの状態に精神的にも耐えられなくなり、帰宅を考えましたが自宅から公民館までは往復で徒歩40分です。
そこでひとまず公民館のすぐ近くにある喫茶店で時間を潰そうとしたところ、同じく書類提出待ちで赤ちゃんを連れたお母さんたちでごった返しており、入店もできない状態。仕方なくタクシーでいったん帰宅し、授乳や自分の食事を済ませてから1時間後に再びタクシーで公民館へ戻ることに。
それでもすぐに番号は呼ばれず、最終的に筆者が書類を提出できたのは15時前。受付してから約4時間後のことでした。あれだけ待ったのにいざ窓口の席に着くと、書類の確認や就労状況の質問などを一通りして約5分で終了。提出自体は非常にあっけなく、短時間で済みました。
窓口への直接提出は数時間待つことを把握していなかった反省
しかし、ふと横の窓口を見ると、書類に不備があった人が何かを記入したりスマホで誰かに電話していたり保活段階で調べられることを質問したりしていました。この混雑は窓口の少なさだけではなかったことに気付きます。事前準備が足りなかった人によって、多くの人が待たされてしまう状況になっていたのでした。
16時頃、ヘトヘトで帰宅。結局、丸1日を入れるかもまだわからない保育園の書類提出のために使ったことになります。ここまで混むとわかっていたら、母子ともに暇をつぶすためのおもちゃや本、オムツ、自分のご飯などを持参したりあらかじめ公民館近くのお店を調べておいたりしていたのに。書類を提出するその瞬間まで事前にあれこれ調べておかないといけない保活の大変さを思い知ったのでした。
しかし、都内の某区に住んでいる友人にこの話をすると、「うちの区は郵送提出だったよ」という驚きの返答が。自治体によっては筆者のように窓口に指定された日時に直接提出するところもあれば、期限まで郵送すればOKというところもあるという地域による差もあるようです。
郵送の場合と違って、窓口への直接提出はとにかく混む! 書類を準備したり保育園について調べたりと保活は頑張っていた筆者でしたが、この提出時のことを事前に調べておかなかったのは確かに自分自身の落ち度だと反省しました。
保活の下調べは提出方法や“待つ”ことへの準備も
しかし、ここでふと疑問に思うことがあります。そもそも、保育園入園のための書類は家庭状況をポイント化した点数のみが選考基準になります。であれば、もうAIを導入するなりマークシート式等にしてもっとスムーズにしてくれたらいいはず。
もちろん、入園のための要項や説明、家庭状況の確認等、面と向かってやらなければいけない事情もあるのでしょう。しかし、筆者が提出時に窓口の人と行ったやり取りは、書類に書いてあることに対してされた質問に「はい」「そうですね」と答えただけ。すべて書類で完結していました。
保活の大変さを感じるたびに、「もうこれは、母親を働かせないようにしているのではないか」と僻んでしまったり、「どうして夫は普通に働けるのに妻だけがこんなに辛い思いをするの」とひねくれたくなる人は少なくないでしょう。書類提出時の筆者も完全にそうでした。働くお母さんの大変さは言わずもがなですが、そのネガティブな感情が夫婦関係や子どもへのストレスなど様々な余波を生じさせることも事実です。
現状の保育園入園申し込みのシステムがそうなっている以上、いろいろと不満は出てしまいますが、なんとか乗り越えるしかありません。とにかく徹底的に事前の下調べを、そして窓口への直接提出時には“数時間は待つ”ことを前提とした準備を行って、可能な限り自分自身のストレスを減らしていってくださいね。
秋山 悠紀