生成AIが商品開発の現場に入り始めています。株式会社ローソンは9月29日、生成AIが出したアイデアを起点に開発した3商品を発売します。

SNSでは驚きや興味を示す声がある一方、AIが商品を考えることへの戸惑いも見られます。

ローソンのAIを活用した商品開発の詳細と合わせて、これまでの食品企業がAIを活用した事例を紹介します。

1. ローソンが9月29日に「AI発案」商品3品を発売

株式会社ローソンは9月29日、生成AIが発案した商品コンセプトをもとに開発したスイーツ、ベーカリー、サラダの3商品を関東・甲信越地区で発売します。

ローソンが生成AIを活用した商品を本格的に発売するのは今回が初めてです。なお、2026年4月には一部地域で実験販売を行っています。

今回のテーマは「今までにない組み合わせや味」「商品や商品名を見た瞬間に『なんだこりゃ?』と思われる」「食べてみたらおいしい」です。

1.1 「レモンタルト(ピクルス風味)」(税込270円)

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出所:株式会社ローソン

出所:株式会社ローソン

最もインパクトがあるのが「レモンタルト(ピクルス風味)」です。税込270円で、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、山梨県、長野県の約4700店舗で販売します。ナチュラルローソンは対象外です。

生成AIが提案した「レモンタルトとピクルスの組み合わせ」をもとに、刻みピクルスの酸味、レモンの爽やかさ、チーズのコクを組み合わせています。

甘さを抑えた、少し酸っぱい味わいに仕上げているとのことです。商品開発では複数の酸味のバランスを調整し、見た目にもレモンタルトらしさが感じられるよう工夫しています。

1.2 「酒種あんバターヨーグルトパン」(税込181円)

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出所:株式会社ローソン

出所:株式会社ローソン

ベーカリーでは「酒種あんバターヨーグルトパン」を税込181円で発売します。

こちらは生成AIが提案した「発酵素材を掛け合わせたあんバター」という発想が出発点です。

酒種を使った生地に、粒あん、発酵バター入りマーガリン、ヨーグルトクリームを組み合わせています。酒種、発酵バター、ヨーグルトという複数の発酵素材を掛け合わせた商品です。

1.3 「混ぜて食べる 和風パフェサラダ」(税込475円)

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出所:株式会社ローソン

出所:株式会社ローソン

3品目は「混ぜて食べる 和風パフェサラダ(ビーフン入り)」です。税込475円で、約3800店舗で販売します。

生成AIが提案した「パフェのような見た目で楽しむサラダ」という発想をもとに、紅芯大根、きゅうり、オクラ、カニカマなど7種類の具材とビーフンを使用。

白だし仕立ての和風ジュレで味わう、見た目にも特徴のあるサラダに仕上げています。

3商品に共通するのは、AIの提案をそのまま商品化していないことです。同社によると、商品開発担当者が試作と検証を重ね、味や見た目のバランスを調整した上で最終形になったとのことで、AIと人間が役割を分担して開発した商品といえそうです。

2. SNSでは「こういう使い方でいいんだよ」「怖いけど食べてみたい」の声

今回の発表をめぐっては、SNSやネット上でさまざまな反応が見られます。

  • 「こういう使い方でいいんだよ」
  • 「怖いけど食べてみたい」
  • 「出たら食べてみよう」

など、好意的な反応が見られる一方、

  • 「まだ挑戦しきれていない」
  • 「せっかくAIが考えるなら、もっと意味不明なものを見てみたい」

といった声も見受けられました。

興味深いのは、商品の味そのものだけでなく、「AIが何を考えたのか」への関心も生まれていることです。

実際にネット上では、「せっかく生成AIでたくさん案が出るのだから却下案特集とかやってほしい」「どのモデルが考案したのか教えてほしい」といった反応もありました。

3. ローソンはこれまでもAIを店舗運営や販促に活用

ローソンが生成AIを活用した商品を本格的に発売するのは今回が初めてですが、同社はさまざまな業務でAIを取り入れています。

2021年には、店舗ごとの天候や販売状況などをもとに、AIが商品ごとの値引き推奨額を算出する実証実験を開始しました。食品ロス削減が目的で、弁当やおにぎりなど消費期限が短い商品の値引きを支援する仕組みです。

また、2022年からは会員データとAIを活用したレシート広告を本格的に開始。購買履歴や性別・年代、価値観などをAIで分析し、商品を購入する可能性が高い会員を抽出したうえで、その人の価値観に合わせた広告デザインやキャッチコピーを表示しています。

2021年8月の実験では、AIで抽出した会員の購入率が、レシート広告を出さなかった場合でも会員全体平均の4倍、広告を出した場合には12倍になったとローソンは公表しています。

こうした従来のAI活用と今回の取り組みには違いがあります。

発注や値引き、広告では販売データなどを活用して効率化や最適化を図るのに対し、今回の商品開発では、既存の発想や市場動向にとらわれないアイデアを引き出すため、アイデア創出段階では過去の販売実績や市場データを使っていません。

AIを「過去のデータから売れ方を予測する道具」だけでなく、「人間が思いつきにくい組み合わせを出す道具」として使っている点が特徴です。