4. 資産運用の相談で見えていた「受け取り方」の落とし所
資産運用のアドバイザーとして銀行で勤めていた頃、iDeCoや退職金の受け取り方についてよく相談を受けました。退職所得控除や公的年金等控除の使い方に注目する方は多い一方で、年金生活者支援給付金のような世帯単位の給付制度にまで話が及ぶことは、あまりありませんでした。
4.1 退職金とiDeCoの受け取り時期をずらす工夫も
退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を分け合うことになり、控除しきれない部分に課税されることがあります。受け取る時期を数年ずらす、あるいは一部を年金として分割するなど、退職所得控除の枠を無駄なく使う工夫について相談されることも多くありました。年金生活者支援給付金への影響を考える際も、こうした受け取り時期の調整とあわせて検討する視点が役立ちます。
5. 判断に迷ったときの考え方
最後に、iDeCoの受け取り方に迷ったときの考え方を整理します。
5.1 控除額を確認したうえで受け取り方を選ぶ
退職所得控除の額は勤続年数(iDeCoの場合は掛金拠出年数)に応じて決まります。この控除額の範囲内であれば、一時金として受け取っても税負担が生じません。まずは自分の退職所得控除額を確認したうえで、一時金・年金・併用のどれが有利かを考えることが基本になります。
5.2 給付金の見込み額と受け取り方のメリットを比べる
年金生活者支援給付金の受給を継続したい場合、iDeCoを年金で受け取ることで所得基準を超えてしまわないか、事前に確認しておくことが大切です。給付金の年間見込み額と、年金・一時金それぞれの税負担を比べたうえで、どちらが手取り総額で有利かを判断することをおすすめします。
5.3 iDeCoの運営管理機関や年金事務所にも相談する
受け取り方の選択は、iDeCoの運営管理機関への手続きだけでなく、年金生活者支援給付金の要件にも関わる判断です。iDeCoの運営管理機関に加えて、市区町村の税務窓口や年金事務所にも相談しながら決めることをおすすめします。
6. まとめ
iDeCoの老齢給付金は、年金で受け取ると雑所得として公的年金等控除の対象になり、その収入が公的年金等の収入金額に算入されます。一方、一時金で受け取ると退職所得として分離課税の対象になり、住民税の合計所得金額には含まれないのが一般的です。
年金生活者支援給付金の所得基準は、この「公的年金等の収入金額」を含む前年の所得で判定されるため、iDeCoの受け取り方によって基準への影響が変わってきます。基準額に近い水準の方ほど、この違いが受給の可否を左右することがあります。
受け取り方を選ぶ際は、退職所得控除の枠や税負担だけでなく、年金生活者支援給付金のような給付制度への影響まで含めて検討し、迷ったときは年金事務所や税務窓口にも相談してみてください。
参考資料
和田 直子