9月も後半に入り、冬のボーナスの支給額が気になり始めるころではないでしょうか。夏の支給額と合わせて、今年の年収がどのあたりに着地するのかを計算している方もいると思います。

年収1000万円という水準は、給与所得者の6.2%しか到達していません。ところが世帯の所得で見ると13.8%まで上がります。この差を生んでいるのが、1つの世帯に複数の収入があることです。

この記事では、1000万円という金額に届いている人がどれくらいいるのかを個人と世帯の両面から確認し、その世帯に実際どれだけ貯蓄があるのかまで見ていきます。

本記事の後半では、家計を見直したい方から届く「家賃は収入の何割までが目安か」というご相談を取り上げます。住居費の目安について、IFAの菅原 美優が回答します。

1. 【年収1000万円】給与所得者では16人に1人

まず、個人の給与で年収1000万円を超えている人がどれくらいいるのかを確認します。

1.1 年収1000万円超は給与所得者の6.2%

国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者は5137万人で、その平均給与は478万円です。このうち年収1000万円を超える人は6.2%にとどまります。

割合にするとおよそ16人に1人です。同じフロアに16人が働いていて、そのうち1人という見当になります。珍しいとまでは言えませんが、周囲を見渡してすぐ何人も思い浮かぶ数ではありません。

1.2 男性9.7%に対し女性は1.6%

同じ調査を男女別に開くと、差がはっきり出ます。年収1000万円超は男性で9.7%、女性で1.6%です。

男性はおよそ10人に1人ですが、女性は60人を超える中で1人という計算になります。平均給与も男性587万円、女性333万円と開きがあり、いちばん人数が多い階級は男性が400万円超500万円以下、女性が200万円超300万円以下です。

1.3 世帯の所得で見ると1000万円以上は13.8%

ところが、同じ1000万円という金額を世帯単位で見ると割合は一気に上がります。

厚生労働省の2025年国民生活基礎調査によると、2024年の所得が1000万円以上だった世帯は13.8%です。およそ7世帯に1世帯という計算になります。ちなみに全世帯の平均所得は575万2000円、中央値は451万円で、いちばん世帯数が多い階級は200万円以上300万円未満です。

ただし、国税庁の調査は個人が受け取る給与の収入、国民生活基礎調査は世帯全体の所得と、集計の対象も金額の定義も異なります。2つの数字は同じものさしで測られたものではない点には注意が必要です。

個人の給与では16人に1人。世帯の所得では7世帯に1世帯が1000万円以上に届いている1/2

年収1000万円超の給与所得者の割合を男女別に示し、所得1000万円以上の世帯の割合と並べて比べた図

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

1.4 個人と世帯で7.6ポイントの差が出る

それでも、6.2%と13.8%という開きは無視できません。

1人の給与で1000万円を超えられる人が16人に1人しかいないのに、世帯としては7世帯に1世帯が1000万円以上に届いています。1人では届かない世帯が、2人分の収入を合わせて超えているということです。

とくに女性で1000万円を超える人は1.6%しかいません。世帯として1000万円に届いているケースの多くは、片方が突出しているというより、2人で積み上げた結果だと考えるほうが自然でしょう。

2. 年収1000万円以上の世帯に貯蓄はどれだけあるか

収入が多ければ、その分だけ貯蓄も多いのでしょうか。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の2025年の調査から、年間収入別の金融資産保有額を見ていきます。

2.1 貯蓄の中央値は1520万円と3000万円

二人以上世帯のうち、年間収入が1000万円以上1200万円未満の層では、金融資産保有額の中央値が1520万円です。1200万円以上の層では3000万円まで上がります。

全国の中央値は720万円ですから、どちらも大きく上回っています。中央値は一部の突出して多い世帯に引き上げられないため、平均値より実感に近い数字として見ておく価値があります。

年間収入が上がるほど中央値は伸びるが、金融資産がない世帯はゼロにならない2/2

二人以上世帯の年間収入別に、金融資産の非保有割合と中央値・平均値・3000万円以上を保有する割合を並べた表

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」をもとにLIMO編集部作成

2.2 3000万円以上を持つ世帯が最も多い

分布を見ると、どちらの層も3000万円以上という区分にいちばん世帯が集まっています。

年間収入1000万円以上1200万円未満の層では29.4%、1200万円以上の層では50.3%です。1200万円以上になると、2世帯に1世帯が3000万円以上を持っている計算になります。

2.3 それでも7%から9%は金融資産を持っていない

一方で、同じ層の中に金融資産を保有していない世帯があります。

年間収入1000万円以上1200万円未満で6.8%、1200万円以上で8.8%です。全国の15.7%と比べれば低いものの、ゼロにはなりません。11世帯から15世帯に1世帯は、収入が1000万円を超えていても金融資産がない状態です。

収入が多いことと、手元にお金が残ることは別だという事実が、この数字にそのまま表れています。残る金額を増やすには、収入を上げるだけでは足りません。そして毎月出ていく固定費のうち、多くの世帯でいちばん大きいのが住居費です。