4. 俸給と所定内給与額をそろえて、管理職の年収を比べる手順

数えているものが違う2つの数字を比べるには、同じ土俵に乗せる作業がいります。

4.1 公務員側は平均給与月額を見る

民間の所定内給与額に近いのは、級別平均俸給額ではなく平均給与月額のほうです。

どちらも、毎月決まって支払われる手当を含み、残業代を含んでいません。

ただし、完全に同じではありません。国家公務員の平均給与月額の内訳に通勤手当は入っていませんが、民間の所定内給与額には通勤手当が含まれています。

4.2 級ごとの平均給与月額は公表されていない

人事院が級別に公表しているのは俸給額で、級別の平均給与月額は第6表には載っていません。

そのため「9級の職員が民間の部長級と比べていくらか」を一次資料だけで出すことはできません。比べられるのは、行政職俸給表(一)全体の平均給与月額42万8451円までです。

この42万8451円を民間の役職別に当てはめると、係長級の39万9200円と課長級の52万9200円の間に入ります。行政職俸給表(一)の平均年齢は41.7歳で、民間の非役職者の41.8歳とほぼ同じでした。

5. 昇進で増えた月給のうち、毎月確実に入るのはどこまでか

役職が上がったときに増える金額は、必ずしも全部が毎月同じように入ってくるわけではありません。

5.1 係長級から課長級で残業代の扱いが変わる

賃金構造基本統計調査には、所定内給与額とは別に「きまって支給する現金給与額」があります。この2つの差が、残業代などの超過労働給与額です。

係長級は44万5400円と39万9200円で、差は4万6200円でした。課長級は54万4100円と52万9200円で、差は1万4900円です。

係長級から課長級で所定内給与額は13万円増えますが、残業代を含む金額でみると差は9万8700円に縮まります。管理職になると残業代が減る分、増加額の見え方が変わります。

5.2 年収に占める賞与の比重も役職によって違う

年収の目安に占める賞与の割合を計算すると、部長級は1007万6200円のうち244万6600円で24.3%です。

非役職者は459万2400円のうち86万6400円で18.9%でした。役職が上がるほど、年収に占める賞与の比重が大きくなっています。

賞与は業績で変動する部分を含みますので、年収の目安をそのまま毎年の見込みとして扱わないほうが安全です。住宅ローンの返済のように長い期間で考えるお金は、月々の所定内給与額を基準に組み立てておくと、賞与が下がった年でも計画が崩れにくくなります。

日本の給与所得者全体のなかで、この水準がどのあたりに位置するのかは、LIMOの記事「日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる」から要点を引用して確認しておきましょう。

給与階級別の分布状況を確認すると、「600万円超」から「2500万円超」に該当する区分を合算した年収600万円超の割合は、全体で24.9%という結果でした。

出所:日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる

6. まとめにかえて

民間企業の部長級は所定内給与額が月63万5800円、年収の目安は1007万6200円でした。

国家公務員は行政職俸給表(一)の9級が54万7182円、10級が58万8675円です。ただしこれは俸給だけの額で、手当を加えた平均給与月額は俸給の1.25倍ほどになります。

数字を並べるときは、金額そのものより「何を含んだ額なのか」を先に確かめてください。定義をそろえないまま比べると、実際には近い水準のものが、大きく違うように見えてしまいます。

参考資料

宮野 茉莉子