4. 令和8年分から扶養親族の合計所得金額の基準は62万円になる
所得要件の金額には、この先に予定されている変更があります。
国税庁のタックスアンサーには、58万円という数字に注記が添えられています。
4.1 令和8年12月1日に施行される
国税庁は、令和8年12月1日に施行され令和8年分から適用される金額は62万円以下だと注記しています。
つまり令和8年分の年末調整や確定申告では、58万円ではなく62万円で判定することになります。施行日前の適用関係などについては、国税庁が令和8年5月に公表した所得税の基礎控除の引上げ等に関するQ&Aで示されています。
4.2 年末調整の時期と重なる
施行が12月1日なので、勤務先へ扶養控除等申告書を出す時期とほぼ重なります。
親に遺族年金以外の収入がある場合は、この基準額で判定が変わることがあります。
5. 税金の「扶養」と健康保険の「扶養」は別物
最後に、実務上とても間違いやすいポイントをお伝えします。「扶養に入れる」という言葉は、年末調整などの「税金」の話と、社会保険などの「健康保険」の話の両方で使われますが、この2つはまったく別の制度です。
5.1 税は合計所得金額、健康保険は収入で見る
扶養控除は所得税法の扶養親族に当てはまるかどうかで判定し、遺族年金は非課税所得なので合計所得金額に入りません。
一方で健康保険の被扶養者認定は、各保険者の定める収入の基準で判定します。扶養控除の対象になるからといって、健康保険の被扶養者にも自動的になるわけではありません。
5.2 どちらの手続きなのかを確かめてから動く
一般的に、60歳以上の方を健康保険の扶養に入れるための基準は「年収180万円未満であって、かつ被保険者(あなた)の年収の半分未満であること」などと定められています。
「税金面では親を扶養に入れられたから、健康保険も自動的に入れるはず」と思い込んでしまうと、後から審査に通らず慌てることになりかねません。手続きを行う際は、税金は勤務先や税務署へ、健康保険はご加入の健康保険組合や協会けんぽへ、それぞれ別々に条件を確認して進めるようにしましょう。
6. まとめ
遺族年金は非課税所得なので、合計所得金額には入りません。遺族年金だけで暮らす親であれば、所得要件の側では扶養親族から外れないことになります。
老人扶養親族の控除額は同居老親等以外で48万円、同居老親等で58万円です。令和8年分からは所得要件の基準額が62万円になるため、年末調整の前に親の収入の中身を確かめておくと安心です。
参考資料
村岸 理美