4. 遺族年金と並べると、障害年金は60歳未満の割合が10倍ほど高い
同じ年報の同じ表には、遺族年金の受給権者の年齢階級別内訳も載っています。並べてみると、2つの年金は年齢の分布がまったく違う形をしています。
厚生年金保険(第1号)の障害年金と遺族年金について、受給権者を60歳未満・60歳から64歳・65歳以上の3つに分けた構成比です。2/2
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」を参考にLIMO編集部作成
【障害年金(合計74万1224人)】
- 60歳未満:34万8837人(47.1%)
- 60〜64歳:11万297人(14.9%)
- 65歳以上:28万2090人(38.1%)
【遺族年金(合計620万2286人)】
- 60歳未満:29万1388人(4.7%)
- 60〜64歳:18万8978人(3.0%)
- 65歳以上:572万1920人(92.3%)
4.1 遺族年金は80歳代前半が最も多い
遺族年金の受給権者620万2286人のうち、いちばん多い年齢階級は80歳から84歳の128万9124人です。障害年金のピークである60歳から64歳より、20年ほど後ろにあります。
配偶者を亡くしたあとに受け取る年金という性格から、分布が高齢側に寄ります。
4.2 障害年金は現役世代を支える制度だと数字が示している
60歳未満の割合は、障害年金が47.1%、遺族年金が4.7%です。同じ表に載っている2つの年金で、ちょうど10倍ほどの開きがあります。
障害年金は、働いている世代が病気やけがで収入を得にくくなったときの支えになる制度です。年齢別の内訳は、その性格をそのまま映しています。
5. 障害年金を請求するときに確認しておきたい3つのこと
障害年金は、要件を満たしていても請求の手続きをして初めて受け取れます。日本年金機構が挙げている要件のうち、つまずきやすい3点を確認しておきましょう。
5.1 初診日がいつかで、受け取れる障害年金の種類が変わる
初診日とは、その病気やけがで初めて医師の診療を受けた日です。この日にどの制度に加入していたかで、障害基礎年金になるか障害厚生年金になるかが決まります。
転院を重ねている場合でも、基準になるのは最初に診療を受けた日です。証明する書類が必要になるため、受診の記録は早めに確かめておきましょう。
5.2 保険料納付要件には特例がある
原則は、初診日の前日までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることです。
ただし、初診日が令和18年3月31日までにある場合は特例があります。初診日において65歳未満であれば、初診日の前日までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。
20歳前に初診日がある場合は、保険料の納付要件そのものが問われません。
5.3 障害認定日は初診日から1年6か月を過ぎた日
日本年金機構は障害認定日を「その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日」と説明しています。
障害認定日に1級または2級に該当していれば、その翌月分から受け取れます。請求は障害認定日以降であればいつでもできますが、さかのぼって受け取れるのは時効により5年分が限度です。
障害認定日には該当しなかったものの、その後に症状が重くなった場合は、事後重症による請求ができます。この場合は請求日の翌月分からの受け取りとなり、請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。
6. まとめにかえて
令和6年度末現在、厚生年金保険(第1号)の障害年金の受給権者は74万1224人でした。最も多い年齢階級は60歳から64歳の11万297人で、60歳未満が34万8837人と全体の47.1%を占めます。
65歳以上が92.3%を占める遺族年金と並べると、障害年金が現役世代を支える制度であることがよくわかります。
2026年4月分からの障害基礎年金は、1級が105万9125円、2級が84万7300円です。障害厚生年金は、それまでの給与や賞与に応じた報酬比例の年金額をもとに計算されます。
ご自身やご家族が対象になりそうなときは、初診日の記録を手元に用意したうえで、年金事務所や年金相談センターに相談してみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害認定日」
村岸 理美