コーヒー生豆(なままめ)相場は、国際コーヒー機関(ICO)が公表する複合指標価格が2025年1月に1ポンド当たり300セントを突破して以降、歴史的な高値圏での高止まりが続いています。
円安の進行も加わり、コーヒーを扱う企業にとって原材料コストの上昇は避けて通れない経営課題となっています。
そうした逆風のなかで、キーコーヒー<2594>は7月31日発表の2027年3月期第1四半期決算で、営業利益を前年同期の4億円から7億8,100万円へ、前年同期比+95.3%伸ばしました。
値上げだけでなく、商品構成の見直しによって収益性そのものを底上げしている点が特徴です。
折しも9月30日を基準日とする株主優待の権利確定も近づくなか、今回は同社がコスト高の環境下でどのように利益を出しているのかを、最新決算からひも解きます。
1. 2027年3月期第1四半期決算、増収増益で着地
キーコーヒーが2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月期)決算では、売上高が241億1,800万円(前年同期比+16.7%)、営業利益が7億8,100万円(同+95.3%)、経常利益が9億2,800万円(同+83.2%)、四半期純利益が6億2,700万円(同+95.2%)となりました。
前年同期(2026年3月期第1四半期)の実績は売上高206億6,900万円、営業利益4億円、経常利益5億600万円、純利益3億2,100万円で、いずれの項目も大きく伸ばした形です。
1.1 コーヒー生豆高騰のなかで、なぜ増益を実現できたのか
同社によると、2026年3月期通期の説明のなかでも、原材料コストは過去5年間で最も高い水準で推移しているとしています。こうした逆風下で、同社はコーヒー関連事業が属する「業務用市場」「家庭用市場」で価格改定を実施し、コスト上昇分を販売価格に転嫁する方向へ営業体制を転換しました。
あわせて、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲といった高付加価値商品の拡販、最短10秒で抽出できる新戦略商品「KEY DOORS+ JET BREW」シリーズの投入で商品ミックスの改善にも取り組んでいます。飲料メーカー等向けの「原料用市場」でも、生豆相場に連動した販売単価の上昇と新規顧客の獲得が増収に寄与したとしています。
この結果、2027年3月期第1四半期のコーヒー関連事業は、売上高211億8,000万円(前年同期比+14.5%)に対し、営業利益は7億4,400万円(同+105.0%)となり、営業利益率は前年同期の1.96%から3.51%まで改善しました。
原材料高が続くなかでも、値上げと高付加価値化によって収益性そのものを引き上げている構図が、今回の大幅増益の実態です。売上の87.8%、3セグメント合計の営業利益(10億1,400万円)の73.4%をコーヒー関連事業が占めている点からも、この利益率改善が全社増益に直結していることがわかります。
なお、全社の連結営業利益(7億8,100万円)は、この3セグメント合計から本社費用などセグメントに帰属しない調整額(▲2億3,400万円)を差し引いた金額です。
また、飲食関連事業の売上高は前年同期比+61.2%と高い伸び率を示していますが、主な理由は2025年7月30日付で連結子会社化したイノダコーヒの業績が今回から反映されたことによる計上範囲の拡大です。前年同期(2025年4〜6月期)にはイノダコーヒの業績が含まれておらず、既存事業の実力ベースの伸びとは性格が異なります。
2. 通期の会社予想は増収減益の計画、Q1だけで進捗率86.8%に
会社側が公表している2027年3月期通期の業績予想は、売上高950億円(前期比+2.1%)、営業利益9億円(同▲16.4%)、経常利益10億円(同▲24.2%)、純利益7億5,000万円(同▲24.1%)と、増収減益の計画になっています。
ただし、第1四半期だけで営業利益7億8,100万円を稼いでおり、通期計画に対する進捗率はすでに86.8%に達しています。単純に四半期を25%ずつ按分するペースを大きく上回っており、期初計画が保守的だった可能性は否定できません。
もっとも、単体ベースの試算では同社は過去2期連続(2025年3月期、2026年3月期)で第4四半期(1〜3月)に営業損失を計上しており、下期にかけて利益が剥落しやすい季節性があります。
1Qの高進捗だけを根拠に上方修正を確定視するのは早計で、通期の着地は今後の四半期決算を確認しながら見極める必要があります。1株当たり配当予想は12円で、前期の実績(12円)と同額です。