要介護度は、病気が重い人ほど高くなる。そう思われがちですが、そうではありません。
厚生労働省によると、要介護認定は介護サービスの必要度を判断するものなので、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。判定の物差しは、約3500人を48時間にわたって調べた1分間タイムスタディ・データから推計する要介護認定等基準時間です。
この記事では判定に使う時間の測り方と区分の線を確認したうえで、7段階の区分がその後の何を決めるのかを見ていきます。
1. 【要介護認定】判定の物差しは、分単位で推計した「要介護認定等基準時間」
判定するのは病気の重さではありません。まず何を測っているのかから確かめます。
1.1 病気の重さと要介護度は必ずしも一致しない
出発点は制度の目的です。
厚生労働省によると、要介護認定は、介護サービスの必要度、つまりどれ位介護のサービスを行う必要があるかを判断するものです。したがって、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。
例も挙げられています。アルツハイマー型の認知症の方で身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。一方、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。
1.2 判定はコンピュータと学識経験者の2段階
決め方は1回で終わりません。
介護サービスの必要度の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。
一次判定の結果がそのまま最終結果になるわけではありません。原案という位置づけで、専門家がそれを踏まえて判断する構造です。
1.3 もとになるのは3500人・48時間の調査データ
推計のもとになるデータが公表されています。
コンピュータによる一次判定は、その方の認定調査の結果を基に、約3500人に対し行った1分間タイムスタディ・データから推計します。
このデータは、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービスがどれ位の時間にわたって行われたかを調べたものです。
1.4 仕組みは樹形モデルと呼ばれる
推計の手順にも名前がついています。
一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従いそれぞれの高齢者を分類してゆき、1分間タイムスタディ・データの中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムです。この方法は樹形モデルと呼ばれます。
自分の状態に最も近い実測データを探して、その人にかかった時間を当てはめる形です。個別に時間を測るのではありません。
1.5 推計は5つの分野で行われる
何にかかる時間を数えるのかも決まっています。
推計は、直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為の5分野について要介護認定等基準時間を算出します。
そしてその時間と認知症加算の合計を基に、要支援1から要介護5に判定されます。認知症の分は、5分野の時間とは別に加算される扱いです。
1.6 区分の線は分単位で引かれている
どこで区分が変わるのかが数字で示されています。
要支援1は要介護認定等基準時間が25分以上32分未満、要支援2と要介護1は32分以上50分未満、要介護2は50分以上70分未満です。
続いて要介護3は70分以上90分未満、要介護4は90分以上110分未満、要介護5は110分以上です。いずれも、これに相当すると認められる状態を含みます。
1.7 この時間は家庭の介護時間ではない
読み違えやすい点に注記があります。
厚生労働省は、要介護認定の一次判定は要介護認定等基準時間に基づいて行いますが、これは1分間タイムスタディという特別な方法による時間であり、実際に家庭で行われる介護時間とは異なると明記しています。
さらに、この基準時間はあくまでも介護の必要性を量るものさしであり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではないとしています。1日110分の介護で足りる、という意味ではありません。
1.8 要支援2と要介護1は別の審査で分かれる
同じ時間帯に2つの区分が並んでいます。
32分以上50分未満という同じ範囲に、要支援2と要介護1の両方が置かれています。この振り分けは、介護の手間に係る審査とは別の審査で行われます。
予防給付対象者の選定は、要介護認定の枠組みの中で、介護の手間に係る審査に加え、高齢者の状態の維持・改善可能性の観点を踏まえた明確な基準に基づく審査・判定を通じて行われます。
1.9 維持・改善が見込みにくい状態は除かれる
その基準も示されています。
予防給付の対象は、要支援1の者すべてに加え、要介護認定等基準時間が32分以上50分未満に相当する者のうち、心身の状態が安定していない者や、認知症等により予防給付等の利用に係る適切な理解が困難な者を除いた者とされています。
ここまでで、どの区分になるかの決まり方は分かります。では、その区分は具体的に何を左右するのでしょうか。7段階の意味と、認定後に状態が変わった場合の扱いを確かめておきます。
なお、7段階の区分が何を左右するのかに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

