厚生年金保険に入るかどうかは、本人が選ぶものではありません。勤め先が適用事業所に当たるかどうかで決まります。

日本年金機構によると、株式会社などの法人の事業所は事業主のみの場合を含めて適用事業所となり、個人の事業所は常時5人以上の従業員がいる場合に適用事業所となります。

この記事では法人と個人事業所の線引きと、5人未満でも加入できる任意適用の道を確認したうえで、会社が任意で設ける3階部分の企業年金との違いを見ていきます。

1. 【厚生年金】法人はすべて、個人事業所は常時5人以上から

同じように会社で働いていても、勤め先の形によって厚生年金保険の扱いは変わります。まず、その線引きを確かめます。

1.1 法人の事業所は、事業主だけでも適用事業所

日本年金機構は、厚生年金保険の適用事業所となるのは株式会社などの法人の事業所だと説明しています。

ここには事業主のみの場合も含まれます。従業員が1人もいない法人であっても、報酬を受けている代表者は厚生年金保険の対象になるということです。

従業員の人数や業種による線引きは、法人には置かれていません。法人として設立されているかどうかが判断の分かれ目になります。

法人は事業主のみでも適用事業所。個人事業所は常時5人以上と業種の2つで判定される1/2

厚生年金保険の強制適用事業所と任意適用事業所の判定、被保険者となる人の範囲を示した図

出所:日本年金機構「適用事業所と被保険者」などをもとにLIMO編集部作成

1.2 個人の事業所は人数と業種の2つで決まる

個人事業所の場合は、条件が2つ重なります。

従業員が常時5人以上いる個人の事業所は、農林漁業、サービス業などの場合を除いて適用事業所となります。人数の条件を満たしても、業種によっては外れるということです。

したがって、5人以上を雇っている個人の飲食店やクリーニング店などは、この人数だけでは適用事業所になりません。自分の勤め先がどちらに当たるかは、業種の分類まで見る必要があります。

1.3 令和4年10月から士業が加わった

この業種の線引きは、近年に一度動いています。

令和4年10月から、法律・会計にかかる業務を行う士業に該当する個人の事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所が適用事業所となりました。

弁護士や税理士などの個人事務所で働く方は、この改正で扱いが変わった可能性があります。以前の説明を覚えている場合は、いまの取り扱いを確かめておきたいところです。

1.4 5人未満でも、半数以上の同意で加入できる

条件から外れる事業所にも、入る道が用意されています。

適用事業所以外の事業所は、従業員の半数以上が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けた場合に、適用事業所となることができます。

認可を受けると、従業員全員が加入することになります。適用年月日、つまり被保険者の資格取得年月日は、厚生労働大臣の認可を受けた日です。

半数以上という数え方なので、同意しない人がいても成立します。ただし成立した後は全員が加入する扱いになる点は押さえておきたいところです。

1.5 任意適用の申請に必要な書類

手続きに使う書類も決まっています。

届書は「健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書」です。添付するのは、従業員の2分の1以上の同意を示す任意適用同意書、事業主世帯全員の住民票原本(個人番号の記載がないもの)、そして公租公課の領収書です。

領収書は原則1年分で、コピーでも差し支えありません。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで出します。

1.6 被保険者になるのは70歳未満で常用的に使用される人

事業所が適用事業所になっても、働く人の全員が被保険者になるわけではありません。

日本年金機構は、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の方が被保険者になると説明しています。国籍や性別、年金の受給の有無は問われません。

短時間就労者については、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所の通常の労働者の4分の3以上であることが基準になります。

特定適用事業所等に勤める短時間労働者は、週20時間以上、月額8万8000円以上、学生でないことの3つをすべて満たす場合に被保険者となります。

1.7 期間を定めて使われる人の扱い

働き方によっては、当初から対象になる場合と、途中から対象になる場合があります。

日々雇い入れられる方は1か月を超えて継続して使用されると被保険者になり、2か月以内の期間を定めて使用される方は、当初から2か月を超えることが見込まれる場合は当初から被保険者になります。

季節的業務に4か月以内の期間で使用される方は、当初から4か月を超えて継続する予定であれば当初から被保険者です。臨時的事業の事業所に6か月以内の期間で使用される方も、6か月を超える予定であれば同じ扱いになります。

一方、所在地が一定しない事業所に使用される方は、いかなる場合も被保険者となりません。届出は被保険者資格取得届または被保険者資格喪失届を5日以内に提出する形です。

自分の勤め先が適用事業所かどうかは、日本年金機構の「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」でも調べられます。判断に迷う場合は、管轄の年金事務所にご確認ください。

なお、会社が任意で設ける企業年金との違いや、加入する制度が選べない理由に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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