創意工夫があっても・・・
「起業にお金なんていらないから、知恵や創意工夫、そして情熱を使え」という意見には、私は大反対です。もちろん何千万円も持ってお金にモノを言わせて起業するのは不可能ですし、それはそれで危険だと思いますがが、最低限の資本金は必要です。どのような業種であっても最低、300〜500万円程度と1年分くらいの生活費は、用意してから起業をするべきです。
なぜなら、知恵や創意工夫・情熱といったものは多くの場合、お金の不足を補うものでしかないからです。お金があってもなくても、起業当初は試行錯誤が必要です。お金がなければ、お金があれば選べたはずの選択肢がなくなる分、事業の成長が遅くなってしまうだけです。
「その制約条件が画期的なアイデアを生み出す」なんていうのは、精神論です。お金のない状態から起業をして成功をした人はスターになってしまうので目立ちますが、その陰にはお金が足りなくなり、消えていった圧倒的多数の起業家がいることを決して忘れないでください。
いわば、その人は奇襲が成功して有名になったに過ぎません。経営という戦いは資源が多い方が勝つことが圧倒的に多く、たまにそれをひっくり返す事例が出ると、英雄としてもてはやされるだけの話です。たとえは良くないですが、起業家としては桶狭間の戦いは、選べるならば絶対に織田信長ではなく、大軍を率いる今川義元側を選ぶべきなんです。
起業するなら、まずはお金を貯めるべき
ということで、「お金がなくても起業ができる」などという世間に流布する奇襲的な話に惑わされず、起業をするならまずはお金を貯めましょう。計画的に300万円を貯められない人が起業をして成功する確率が高いとは、私にはとても思えません。これは、金融機関から見ても同じことです。お金を貯められない人にお金は貸せません。
どんな環境であれ、起業をするほどの能力や決意を持った人であれば年100万円は貯められるはずです。サラリーマンなら月5万円+ボーナス20万円×2で年間100万円です。給料が安いなら副業をしましょう。起業の手段としてはお勧めはしていませんが、副業としてはアフィリエイトだって月5万円程度なら、必死でやれば達成可能です。
もちろん自己投資も必要、資格もできればあった方が良いですし、仕事もきっちりやって自らの能力に磨きをかけなくてはいけません。しかし、優先度でいけば資本金を貯めることは、起業をする上ではかなり上位のタスクです。そのことだけは忘れないでください。
それでは、また。フラスコ代表、安田でした。
安田 修