4. 過去10年でiPhoneの価格はどう変わった?

Appleの標準モデルを中心に、2016~2025年の日本での発売時価格を、当時の消費税を含めて並べると以下の通りです。

  • 2016年:iPhone 7 7万8624円~
  • 2017年:iPhone 8 8万5104円~
  • 2018年:iPhone XR 9万1584円~
  • 2019年:iPhone 11 8万0784円~
  • 2020年:iPhone 12 9万4380円~
  • 2021年:iPhone 13 9万8800円~
  • 2022年:iPhone 14 11万9800円~
  • 2023年:iPhone 15 12万4800円~
  • 2024年:iPhone 16 12万4800円~
  • 2025年:iPhone 17 12万9800円~

2016~2019年は消費税8%、2020年は10%として税込価格に換算しています。

長期的には、iPhoneの最安価格は上昇傾向です。2016年の約7万8600円から2025年の12万9800円へ、10年間で約1.65倍になっています。

5. 2022年に大幅値上げ、2026年は2度の改定で価格水準をさらに引き上げ

iPhoneの価格推移で大きな転換点となったのが2022年です。

2022年7月、Appleは日本で販売するiPhoneの価格を一斉に引き上げました。iPhone 13は9万8800円から11万7800円となり、1万9000円(約19%)の値上げでした。このときは急速な円安による為替環境の変化がトリガーとなりました。

その後は、毎年大幅な値上げが続いたわけではありません。2023年のiPhone 15は12万4800円、2024年のiPhone 16も12万4800円からと、標準モデルの発売時価格は2年間同じ水準でした。2025年のiPhone 17も12万9800円からでしたが、最低容量を256GBに増やしています。

しかし、2026年は7月と9月の2回にわたって価格が改定されました。7月の値上げは日本国内を対象としたもので、為替変動の影響が大きかったとみられています。9月には新型iPhoneの発表に合わせ、販売を続ける旧モデルまで一斉に値上げされました。

今回の値上げについてAppleが具体的な理由を説明したわけではありません。ただ、2026年はメモリーなど部材価格の上昇が指摘されており、為替以外のコスト要因も影響しているとみられています。

過去10年の価格推移を見ると、Appleは単純に毎年値上げしてきたわけではありません。

2019年にはiPhone 11を前年のiPhone XRより安い価格で投入し、2023年と2024年の標準モデルも12万4800円からという価格を維持しました。新モデルの性能を高めながら、価格を据え置くことで買いやすさを保つ局面もありました。

しかし、2026年は様相が異なります。7月、9月と相次いで価格を改定し、販売を続ける旧モデルまで値上げ。iPhone 17eのような比較的手頃なモデルも12万円台となり、「最新機種ではなく、1世代前を選んで価格を抑える」という選択肢も以前ほど機能しなくなっています。

今回の価格改定は、新型iPhoneの価格そのものよりも、Apple Storeの「価格帯の底」が切り上がったことに意味があります。

高価格なProモデルや折りたたみモデルを追加する一方、普及価格帯を担ってきた旧モデルも値上げする。2026年のAppleは、ラインアップ全体を通じて、これまでより高い価格水準を受け入れてもらう方向へ舵を切ったとみることができます。

消費者にとっては、今後「最新モデルを買うか、旧モデルで節約するか」という従来の選び方だけではなく、値上げ前の価格や容量、販売店ごとの価格差まで含めて比較することが、より重要になりそうです。

6. 家電トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

iPhoneの値上げを考えるうえで、もう一つ見ておきたいのがデジタル製品全体の価格です。2026年は、スマートフォンだけでなくゲーム機でも価格改定が相次いでいます。

例えば、任天堂株式会社は2026年5月、Nintendo Switch 2の日本語・国内専用モデルを4万9980円から5万9980円に、1万円値上げしました。同社は、メモリーを中心とする部材価格や為替などの市場環境の変化が中長期的に続くと判断し、価格を改定したと説明しています。

また、ソニー・インタラクティブエンタテインメントも2026年4月、PlayStation 5などの価格を日本を含む各地域で改定しました。日本ではPS5が8万9980円から9万7980円、PS5 Proが11万9980円から13万7980円となっています。

こうした動きを見ると、2026年はデジタル製品について、性能向上や新機能を加えながら価格を維持するだけでなく、為替や部材、製造コストなどの変化を販売価格に反映する動きが目立ちます。

iPhoneでも、新型モデルの価格上昇に加えて既存モデルまで値上げされたことで、「新型発売後に旧モデルを選べば安く買える」とは限らなくなりました。今後は、どのモデルを選ぶかだけでなく、価格改定前のタイミングで購入するかどうかも、これまで以上に重要になりそうです。

参考資料

大蔵 大輔