足し算だけではなく引き算や概数(およその数)、四捨五入もスーパーで勉強できます。たとえば、38円と49円のお菓子だったら、40円と50円と考えて計算すればいい、それが100円以下ならお母さんのOKが出るというのが感覚的にわかってくるようです。

概数も四捨五入も4年生で学びますが、小学校2年生や3年生くらいでもこの感覚は身に付いてきます。この根底にあるのは、駄菓子を買ってもらいたいという無垢な願望です。

しかも、100円ギリギリまで買って欲しいという気持ちがあるので計算するのも必死です。

もう1つおもしろいなと思ったのは、100円になるような組み合わせを考えるようになることでした。75円20円だと95円でもう買うことができない、でも40円と35円と25円にすれば100円ぴったりになり、しかも3個も買えるとわかるのです。

こういった文章問題は、算数の時間にも出されるようですが、紙に書かれた計算問題だったらここまで考えることはせず「え〜、わかんない」と投げ出すと思います。目の前に物があるわけではないので、リアリティがないからです。

でも、スーパーなら目の前に食べたい駄菓子が並んでいるので、自分のこととして考えることができるのです。だからこそ、普段はできない計算ができてしまうのだと筆者は考えています。

苦手な割合もお買い物で克服

小学校の算数での難関といえば、やはり割合です。20%とか3割といった言葉自体に抵抗があり、それを見ただけで「わかんない!」となってしまうことも多いようです。でも、これも計算と同じで買い物で感覚をつかむことができます。

娘と洋服を買いに行ったとき、20%OFFというシールが貼ってありました。それを見て筆者が「いくらになると思う?」と聞いたら「0.8をかければいいんだね」と答えたのです。

宿題であれほど悪戦苦闘していたのに、洋服の割引ならあっさり答えられたことにびっくり。割合の考えは感覚をつかむまでは難しいので、それに慣れさせるという意味でも買い物、とくに割引になるセールはオススメです。

買い物に行ったつもりで考えなさい

いくら買い物で計算ができるといっても、学校での評価は学校内で行われます。テストもその1つですが、もしわからない問題があったら、全部買い物に行ったつもりで考えなさいとアドバイスをしていました。

計算問題もそうですが、文章題も同じです。「ケイコさんが…」という問題だったら、ケイコさんを自分に置き換えるのです。

そうするとイメージがしやすくなって、状況が見えてきます。ここでイメージできるかがポイントなので、普段の買い物をどれだけ経験しているかが重要になってくるというわけです。

子どもに勉強を教える場所は学校や家庭の中だけではありません。教科書や参考書だけではつかめない物もあるはずだ、と筆者は考えてきました。

それがリアルの世界での経験です。そして、その経験が勉強に活かされることも少なくありませんでした。たった100円の駄菓子代で計算問題をマスターしてくれると思えば、安いものだと思いませんか?

川崎 さちえ