2026年3月期の減収減益と、会社が挙げた2027年3月期の前提
事業構成の話を、直近の決算に重ねてみる。2026年3月期は売上収益1,477億円(前期比▲9.9%)、営業利益186億円(同▲35.5%)、当期利益190億円(同▲21.3%)で着地した。減収減益である。
減収の算術は明快だ。ゲーム事業の縮小に加え、ヘルスケア・メディカル事業も▲18.9%。増収はスポーツ区分だけで、連結の減収はほぼゲーム事業で説明がつく。
では2027年3月期はどうなるのか。会社予想は売上収益1,540億円(前期比+4.3%)、営業利益150億円(同▲19.8%)。増収なのに減益という組み合わせだ。
会社はその前提をこう説明している。ゲーム事業について、前期は『Pokémon Trading Card Game Pocket』の初動を上期中心に大きく含んでいることを考慮した。加えて経営の変革期として、将来成長に向けて必要な投資を前期比で積極化する見通しだという。Non-GAAPベースの営業利益は150億円で、前期比▲46.7%とされている。
1Qの実績はどうか。2027年3月期1Qは売上収益371億円、営業利益74億円。通期予想に対する営業利益の進捗率は49.4%で、4分の1という単純なペースを大きく上回っている。
目を引くのは当期利益334億円、EPS333.13円という水準だ。営業利益74億円に対して、この大きさになっている。会社は通期の当期利益を非開示としており、その理由として、上場申請中の持分法適用関連会社であるGOの影響等が今後精査を要する点を挙げている。
過去5期の営業利益を並べると、114億円、42億円、▲282億円、289億円、186億円。2024年3月期は287億円の減損損失を計上して赤字に沈み、翌期に急回復し、直近で再び水準を下げた。この振れ幅の大きさは、DeNAを見るうえで外せない特性である。
持分法に並ぶ社名と、自己資本比率69.8%という論点
グループ構造をもう一段掘ると、連結の外にも見どころがある。有価証券報告書の関係会社の状況には、23社が並ぶ。
持分法適用関連会社には、ゲーム開発のCygamesが20.0%、ニンテンドーシステムズが20.0%、そして会社が上場申請中と記すGOが25.8%。いずれも連結売上には乗らないが、企業価値の一部はここにある。
財務は軽い。2026年3月期末の自己資本比率は69.8%で、サービス業の中央値54.5%を大きく上回る。有利子負債は24億円にとどまり、現金は1,030億円を抱える。
収益性も業種の中では上位にある。営業利益率12.7%はサービス業の中央値6.5%の2倍近くで、上位25%の水準である12.1%も超えている。
ところがROE(自己資本利益率)は8.0%で、中央値9.0%を下回る。利益率は業種の上位、資本効率は中央値以下。この2つが同時に成り立っているのが直近の姿だ。
実質的に無借金に近い財務は、一般に好感されやすい。もっとも、負債をほとんど使わずに自己資本を厚く積んだ状態が資本効率の観点で最適かどうかは、また別の論点である。ゲーム会社は高収益で資本効率も高いというイメージだけで眺めていると、この組み合わせは見落としやすい。
筆者コメント
業界内での立ち位置に照らすと、この会社は評価の物差しが2つに割れている。利益率では業種の上位に立ち、資本効率では真ん中より下にいる。
割れる原因の一つは、自己資本を厚く保ったまま複数の事業を並走させている点にあるだろう。稼ぐ事業と、育てる事業と、地域に根を張る事業を、同じ器で抱えている。
この構えは、単一事業に集中した会社と同じ物差しでは測りにくい。セグメントを1つずつ分けて見れば筋が通るのに、連結をひとまとめにすると輪郭がぼやける。
そして会社自身も、2027年3月期は事業ポートフォリオと事業創造についての戦略を更新し、具体化して実行することを最優先に取り組むとしている。器の形そのものを問い直す期という位置づけだろう。
読者としては、ポートフォリオがどこへ寄せられていくのかを、セグメントの売上構成比と利益率の両方で追う姿勢を持ってほしい。売上の内訳が変われば、この会社の顔つきも変わる。
参考資料
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石津 大希