米景況感の悪化を示す経済指標が相次ぎ、相場は下落
2019年10月4日の日経平均株価の終値は、前日より68円46銭高の21,410円20銭となりました。3日ぶりの反発ですが上げ幅はわずかでした。商いも薄く、東証1部の売買代金は1兆8219億円と低水準でした。
日経平均は8月下旬に底を打ってから上昇を続けてきましたが、ここにきて利益確定などの調整局面になっています。
先週の下落のきっかけは、米経済指標の発表でした。1日に発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の9月の製造業景況感指数は10年3か月ぶりの低い水準となりました。2日に発表されたADP全米雇用リポートでも雇用者数の伸びが前月に比べて減速。さらに3日発表されたISMの非製造業景況感指数は3年ぶりの低水準になりました。
投資家の間には、米景気の減速を示すとの印象が広がり、ダウ工業株30種平均は大きく売られ、日経平均も連れ安となりました。
今週の動きはどうなるでしょうか。ダウ平均、日経平均はともに高値圏にあることからネガティブな材料が出ると押しが入りやすいところです。しかし、そこからつるべ落としのように下落するかと言えば、そうでもありません。
米景況感の悪化を示す経済指標が出ると、利下げ観測が高まり、株価は下げ止まりました。4日には9月の米雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は前月比13万6000人増となり、市場予想(約14万5000人増)を下回ったものの、警戒していたほど悪くないとの見方から、市場にはむしろ安心感が広がり、4日のダウ平均は前日比で372ドル高となりました。日本株も週初から買われる展開になることが期待できます。
ただし、追加利下げとなるとドルが売られ円が買われることになります。4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=106円85~95銭で取引を終えており、やや円高傾向にあるので注意が必要です。
米中の通商交渉では、10日に閣僚級の協議が開かれる予定です。米国は15日に2500億ドル分の中国製品への追加関税を5%引き上げる予定になっていますが、それ以前に何らかの進展があるのか注目されるところです。
75日線付近では下値がサポートされる動き
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末に5日移動平均線を割り込み、先週はここを回復できるかどうかが大きなポイントでした。実際には、回復できないだけでなく、むしろ5日線に上値を押さえられるように下落していきました。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。一つ心配なのは、下値メドとなっていた、7月25日の高値(21,823円)を割り込んだことです。ここより価格が下がったことにより短期的な上昇トレンドが崩れてしまいました。とは言うものの、判断が難しいのは、一方で75日線にはしっかりと下値をサポートされていることです。
ここからの動きとしてはいくつか考えられます。まずは75日線に支えられたことから、ここから反発するパターン。もう一つは5日線や7月25日の高値(21,823円)付近まで上昇して、再び下落するパターンです。その点では今週、5日線や7月25日の高値(21,823円)を回復できるかどうかが注目されます。
ただし、25日線と75日線とのゴールデンクロスが形成されていたり、大きく下落したりしても21,000円は割り込まないといったことを見ると、相場の節目が変わったというよりは、短期的な調整局面と見ていいのではないでしょうか。5日線や7月25日の高値(21,823円)を回復するなど、反発が確認できるようであれば積極的に付いていきたいところです。
下原 一晃