生活をするためには働いてお金を稼ぐ必要がありますが、自分自身のためにも家族のためにも、どういった職場で働くかはとても重要です。馬車馬のように働かされ、本来ならば得られるはずの残業代さえもらえず、精神的にも肉体的にも疲労してボロボロになるブラックな職場では絶対に働きたくないという人も多いはず。

そこで今回は、近年その過酷な労働環境が取り沙汰されている飲食業界における「ブラック飲食店」の特徴と見分け方について紹介します。

そもそも「ブラック飲食店」とは?

本記事で取り上げる「ブラック飲食店」とは、よく話題となっている「ブラック企業」の飲食店バージョンのことで、下記のような状況にあるものを言います。

・パワハラやセクハラなどが日常的
・違法な労働を強いて奴隷のように扱う
・労働基準法で定められた労働時間を超える労働が日常的

上記に加え、いつ食中毒が発生してもおかしくない不衛生な状態であるなど、健全ではない労働環境の飲食店のことです。

知っておくべき飲食業界の実情と消費者として気をつけるべきこと

筆者は、金融会社での勤務経験や接客改善業務で多くの飲食店とかかわり、飲食店の想像以上に厳しい実情を知りました。メニューの値段が安価でなければ集客が難しい一方で人件費や材料費が高騰し、頭を抱えている飲食店がとても多いのです。

消費者は「安くておいしいもの」を求め、提供する側は競争に勝つべく、消費者のその思いに応えなければならないという状況が続いています。そのため、人件費や材料費にしわ寄せがいき、スタッフをボロボロになるまで働かせたり、傷みかけの食材を使用したりする悪循環を生みだしているという側面もあります。

「安いものにはそれだけの理由がある」――消費者である私たち自身もそれに気づき、適正な価格を支払うことが、ブラック飲食店を減らす第一歩につながるのではないでしょうか。

実は「健全かどうか」をリサーチしやすい飲食店

実際には働いてみないとわからない部分も多いものの、飲食店の場合は一般企業よりも「健全な職場環境かどうか」を事前リサーチしやすいという面もあります。

まずは、一般企業がブラックかどうかを調べるときと同じように、店舗名を入れてインターネットで検索をかけてみましょう。大手チェーン店などの場合は、大元の会社名を検索して口コミや評価を調べます。すると、部下や上司への暴力沙汰など事件となっている場合や過去に長時間労働などが問題となった場合には特に、すぐにいくつも結果がヒットするはずです。

また、実際に働きたいと考えている飲食店には足を運んでみるといいでしょう。一般企業では、働く前に内偵のようなことはできないため、こういった点で飲食店はリサーチがしやすいと言えます。

次に、実際に店舗へ足を運んだときにチェックするポイントについて見ていきましょう。

「スタッフの顔ぶれ」でチェック

長時間労働を強いるブラック飲食店では、どの時間帯に行っても同じようなスタッフが働いていることが多いものです。中でも厨房のスタッフは正社員であることが多いため、どの時間帯に行っても同じ顔ぶれの人が調理をしているような飲食店は要注意です。

ただし個人店では、オーナーが「人件費を浮かせるため」「仕込みは自分でやりたい」などの理由で長時間店舗にいることもあるため、複数のスタッフをチェックするようにしましょう。

「スタッフの顔色や表情」でチェック