ひとり親家庭が受け取れる手当としてよく知られているのは、国の制度である児童扶養手当です。

東京都内には、これとは別に「児童育成手当」という都の制度があります。各区市町村が窓口となり、児童1人につき月額1万3500円が支給されます。

本記事では、児童育成手当の対象になる人と支給額、所得制限について解説していきます。

ココがポイント
  • 児童育成手当は東京都の制度で、月額は児童1人につき1万3500円である
  • 対象は18歳になった年度末までの児童を養育するひとり親家庭など
  • 所得制限は受給者本人の前年所得で判定され、扶養親族等0人で375万8000円(令和8年6月分以降)

1. そもそも「児童育成手当」とは?東京都内の区市町村が実施する手当

東京都福祉局の案内によると、児童育成手当は、ひとり親家庭の児童などの健やかな成長を支えることを目的に、都内の各区市町村が条例を設けて実施している手当です(都制度)。

全国共通の国の制度ではなく、原則として東京都内に住んでいる人だけが対象になる点が特徴です。

児童育成手当の全体像を整理した図1/2

児童育成手当の全体像を整理した図

出所:LIMO編集部作成

渋谷区や調布市、西東京市、三鷹市など、都内の区市町村がそれぞれ窓口となって受け付けています。

手当には、ひとり親家庭などを対象とする「育成手当」と、障害のある児童を対象とする「障害手当」の2種類があります。名前のよく似た国の「児童扶養手当」とは別の手当です。

2. 対象になるのはどんな人か。18歳になった年度末までの児童を育てるひとり親など

東京都福祉局と各自治体の案内をもとに、児童育成手当の対象を確認しましょう。

2.1 育成手当の対象になる児童は8つの類型がある

育成手当の対象は、次のいずれかに当てはまる児童を養育している父・母または養育者です。対象になるのは、児童が18歳に達した日以後、最初の3月31日を迎えるまでの間です。

  • 父母が離婚した児童
  • 父または母が死亡した児童
  • 父または母に重度の障害がある児童
  • 父または母が生死不明である児童
  • 父または母に1年以上遺棄されている児童
  • 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
  • 父または母が1年以上拘禁されている児童
  • 母が婚姻によらないで出生した児童

離婚や死別によるひとり親家庭だけでなく、父または母に重度の障害がある場合のように、両親がそろっていても対象になる類型が含まれています。

※児童が児童福祉施設などに入所している場合は対象外になることがあります。

2.2 障害のある児童には月1万5500円の「障害手当」もある

児童育成手当にはもう1つ、障害のある児童を養育する人への「障害手当」があります。月額は児童1人につき1万5500円です。

  • 身体障害者手帳1級・2級程度の児童
  • 愛の手帳1〜3度程度の児童
  • 脳性まひまたは進行性筋萎縮症の児童

障害手当の対象は20歳未満の児童で、育成手当とは対象年齢の上限が異なります。ひとり親家庭であるかどうかは問われません。

3. 月額はいくらか。児童1人につき1万3500円が年3回に分けて支給される

渋谷区・調布市などの案内より、支給額と所得制限を確認しましょう。

児童育成手当の月額と所得制限限度額をまとめた図2/2

児童育成手当の月額と所得制限限度額をまとめた図

出所:渋谷区「各種手当所得制限限度額」等を参考にLIMO編集部作成

金額と支給時期は次のとおりです。

  • 育成手当の月額:児童1人につき1万3500円
  • 障害手当の月額:児童1人につき1万5500円
  • 支給時期:多くの自治体で6月・10月・2月に、前月までの4カ月分をまとめて支給

たとえば対象児童が2人いる場合、育成手当は月2万7000円になり、1回の支給では4カ月分の10万8000円が振り込まれます。

※支給日や振込のタイミングは自治体によって異なります。

3.1 所得制限は扶養親族等の数で決まる。0人なら375万8000円が目安になる

児童育成手当には所得制限があり、受給者本人の前年の所得が限度額以上の場合は支給されません。

令和8年6月分以降の限度額は次のとおりです(渋谷区・調布市の例)。

  • 扶養親族等0人:375万8000円
  • 扶養親族等1人:413万8000円
  • 扶養親族等2人:451万8000円
  • 以降、扶養親族等が1人増えるごとに38万円を加算

※所得の計算では一定の控除があります。限度額や判定の詳細は自治体によって異なる場合があるため、お住まいの区市町村で確認してください。

和田 直子

ご相談のなかで、都外から東京都内へ転入されたひとり親のかたが、児童扶養手当の手続きだけを済ませて児童育成手当を申請していなかった、というケースを見かけることがあります。

児童育成手当は都内だけの制度で、申請しなければ支給は始まりません。お子さんを育てながらの手続きは大変ですが、窓口でひとり親家庭向けの手当をまとめて確認しておくと安心です。