伊藤園<2593>は1日、2027年4月期第1四半期(2026年5月1日~7月31日)の決算を発表しました。原材料・エネルギー価格の高騰が続くなか、国内外で実施した価格改定の浸透や費用効率化を背景に、売上高・営業利益・経常利益・純利益がそろって増加する増収増益の決算となりました。
これを受けて2日の株価は前日比+262円(+8.70%)の3,273円で取引終了。日経平均株価が大きく下落するなかで逆行高となり、朝方に一時3,402円をつけて年初来高値を更新しました。
1. 2027年4月期第1四半期は増収増益、稼ぎ頭が支えた中身とは
第1四半期の連結業績は次のとおりです。
- 売上高:1,351億8,000万円(前年同期比3.3%増)
- 営業利益:102億円(同22.0%増)
- 経常利益:101億2,200万円(同13.4%増)
- 四半期純利益:65億5,900万円(同14.8%増)
増収率が3.3%にとどまる一方、営業利益は22.0%増と大きく伸びています。ただし、この伸び幅の大きさには一過性の要因も影響しています。
2. 売上の9割を稼ぐ「リーフ・ドリンク関連事業」、増益の中身とは
伊藤園はリーフ・ドリンク関連事業、飲食関連事業、その他の3セグメントで構成されていますが、稼ぎ頭は圧倒的にリーフ・ドリンク関連事業です。
第1四半期の売上高1,206億2,900万円(前年同期比2.7%増)は全社売上高の約9割を占め、営業利益も89億9,300万円(同23.5%増)と、全社の営業利益102億円のほとんどをこの1事業が生み出しています。
この事業には「お~いお茶」をはじめとする緑茶飲料や茶葉製品に加え、自動販売機事業も含まれています。売上面では国内外で実施した価格改定の浸透効果により堅調に推移しました。
利益面では、継続する物価高の影響を受けながらも、①販促費用の抑制、②前期に自動販売機事業で減損処理を行った資産について今期の減価償却負担が軽くなった効果、の2つが大幅な増益につながりました。②は前期の会計処理を引き継いだ一過性の効果であり、事業そのものの稼ぐ力が急に高まったわけではない点は割り引いて見る必要があります。
なお、大谷翔平選手を起用したマーケティング施策や「お~いお茶」のグローバル展開(現在52の国・地域で販売、2029年4月期までに60以上への拡大を目指す)はこの期間も継続しています。
飲食関連事業(「タリーズコーヒー」など)も売上高124億500万円(前年同期比8.4%増)、営業利益9億9,100万円(同9.3%増)と増収増益でした。2026年7月末時点の総店舗数は855店舗(前期末比5店舗増)で、地域性を取り入れた新規出店やコラボレーション施策が客数・売上を押し上げています。その他事業は売上高21億4,600万円(同9.5%増)、営業利益2億2,000万円(同23.1%増)でした。
第1四半期は、価格改定が浸透したリーフ・ドリンク関連事業の底堅い売上と、前期の減損処理に伴い今期の減価償却負担が軽くなったという一過性の要因が重なり、増収以上に増益率が大きくなった決算といえます。
3. 通期計画は据え置き、進捗率は季節性も踏まえて見る必要あり
2027年4月期の通期業績予想は、6月1日発表時点から修正はありません。
- 売上高:5,000億円(前期比0.4%増)
- 営業利益:200億円(同7.8%減)
- 経常利益:205億円(同11.9%減)
- 純利益:114億3,000万円(同229.7%増)
純利益だけを見ると+229.7%の急回復に見えますが、これは前期に自動販売機事業の減損処理で純利益が大きく落ち込んだ反動によるもので、2025年4月期の実績(141億5,600万円)にはなお届かない水準です。
配当予想も据え置かれており、2027年4月期は中間26円00銭、期末26円00銭の合計52円00銭です(2026年4月期は合計48円00銭)。
なお、伊藤園には配当条件の異なる第1種優先株式(証券コード25935)もあり、2027年4月期の配当予想は普通株の52円に対し66円(中間33円・期末33円)となっています。
第1四半期の実績を通期予想と比べると、進捗率は売上高が27.0%、営業利益が51.0%、経常利益が49.4%、純利益が57.4%です。四半期進捗の目安である25%を利益面で大きく上回っていますが、これには季節性が絡んでいます。
伊藤園の第1四半期(5月~7月)は清涼飲料の需要が高まる夏場を含む時期にあたり、前期(2026年4月期)の実績でも第1四半期の進捗率は38.6%(当時の営業利益実績83億6,000万円÷通期実績216億8,400万円)と、もともと25%を上回りやすい季節性があるとみられます。