厚生年金の「加給年金」は、年下の配偶者がいる方の年金に上乗せされる仕組みで、令和8年度は配偶者分だけで年最大42万3700円にもなります。ところが、老齢厚生年金の受給開始を75歳まで繰り下げている世帯では、この加給年金がいつの間にか受け取れなくなっているケースがあります。

加給年金が打ち切られるのは、本人の年齢ではなく「配偶者が65歳になったとき」です。しかし、75歳まで繰り下げている間に配偶者が65歳を超えてしまうと、繰下げ後に年金を受け取り始めても、加給年金は二度と受け取れません。

この記事では、日本年金機構の公式情報をもとに、加給年金・振替加算の切り替わるタイミングと、繰下げ受給を選んだ場合に年金額がどう変化するかを整理していきます。

ココがポイント
  • 加給年金が打ち切られるのは「配偶者が65歳になったとき」で、本人の年齢(75歳など)自体が終了条件ではない
  • 老齢厚生年金の受給開始を66歳〜75歳まで繰り下げている「繰下げ待機期間」中は、加給年金がまったく支給されず、繰下げによる増額の対象にもならない
  • 繰下げ待機中に配偶者が65歳に達してしまうと、繰下げ後に年金を受け取り始めても、加給年金は二度と受け取れなくなる

1. 加給年金は「配偶者が65歳」で打ち切られる、本人の年齢は関係ない

まず、加給年金がいつ終わるのかという基本のルールを確認しておきます。

1.1 加給年金の対象と金額(令和8年度)

日本年金機構によると、加給年金は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳に到達した時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子がいるときに加算されます。配偶者分の加給年金額は24万3800円(年額)で、受給権者の生年月日に応じた特別加算(最大17万9900円)を合わせると、令和8年度は最大42万3700円(年額)になります。

1.2 打ち切り後は、配偶者自身の「振替加算」に切り替わる

加給年金は、配偶者が65歳に達したとき、離婚や死亡などで生計を維持しなくなったときに終了します。本人が何歳になったかは関係ありません。配偶者が65歳になって加給年金が打ち切られたあとは、その配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされる仕組みに切り替わります。ただし、昭和41年4月2日以後に生まれた配偶者は振替加算の対象外です。

和田 直子

加給年金は「本人が75歳になったら消える」ものではなく、あくまで「配偶者が65歳になったら消える」ものです。この基本を押さえたうえで、次に説明する繰下げ受給との組み合わせに注意していただきたいと思います。