上記のように、保護者同士のコミュニケーションの手段としては、役員の集まりや旗当番は重要な役割を果たしていると言えるようです。そのため、気持ちや時間に余裕があれば、こういったメリットを得るために自主的に役員や旗当番を行うというのも一つの手段だと言えるでしょう。

しかし、辞退できるにもかかわらず「辞退できないような強制的な制度」は保護者の不満を蓄積させる原因であり、事情がある人への配慮を欠いてしまうことにもなりかねません。

また、60歳以上の雇用が一般的となっている今では、両親に応援を頼むことができない家庭も多くなっているため、役員や旗当番が強制的であることは見直されるべきではないかと筆者は考えています。

下記のように、体調面や精神面での負担だけでなく、仕事や家庭の都合などで現実的に旗持ちや役員が難しいという人たちも少なくありません。

  • 妊娠中や産後
  • 下の子がまだ小さく、旗当番に連れて行くのも家に置いていくのも心配
  • 子供が不登校になり、子供にとっても保護者にとっても立哨が辛い
  • シングル家庭で、保護者が体調を崩しがち、または子供が体調を崩しがち
  • 配偶者や両親、義父母が非協力的
  • 仕事上、急な出張が入る。もしくは誰かが休んだ場合は、代わりに出勤したり出張へ行ったり必要がある

PTA役員や旗当番の回避方法

学校や子ども会に役員や旗当番の辞退を申し出ても受け入れてもらえないような場合は、管轄の教育委員会に相談してみましょう。事情を伝え、役員や旗当番はボランティアで本来は任意であることも念押しし、学校に役員や旗当番を辞退したいと伝えてもらうことで配慮がなされる場合が多いようです。

また、文部科学省によって来年度からスクール弁護士を全国に300人配置する準備が進んでいるため、スクール弁護士に相談してみるというのも一つの手段です。ただ、いじめや虐待から子供たちを守るための相談がメインのようですので、相談時間が長くならないよう、伝えたいことを紙にまとめておくなどの配慮が必要でしょう。

まとめ

子供たちの通っている学校に何か恩返しをしたいとは思いつつも、ボランティアでありながら強制的である役員や旗当番の制度に違和感を覚えている人も少なくありません。

こうした制度が重荷だと感じている人のことはもちろん、現状のシステムでは事情のある人への配慮を欠いてしまうと危惧している人、仕事や家庭の都合、親の介護、子供の不登校といった事情から役員や旗当番が難しいという人の意見が広く伝われば嬉しく思います。

山内 良子