では次に、そもそもはボランティアなのだから辞退をするのも自由なはずのPTA役員や旗持ち当番が、なぜ強制的な状態のまま存続しているのかについて考えていきましょう。現状は次のような状態が少なくないのではないかと思われます。

・子ども会の説明を受けたときに「役員や旗当番についても辞退が可能なはず」だと伝えても、「役員や旗当番は避けられないので絶対にやってもらうことになります」の一点張り。

・子ども会の会長さんに連絡をしても、「私の一存では決められないので…」と言葉を濁す返事のみ。

・学校に訴えても、「PTAは保護者の方たちが任意で活動している団体なので、学校が口を挟むことはできないんです」と言われてしまう。

では、仕事や家庭の都合、親の介護、子供の不登校といった事情で役員や旗当番が難しい場合、どこに訴えればよいのでしょうか?

上記のような現実では、「辞退したい」という声を受け入れる窓口を、学校とPTAが無意識のうちに連携して潰してしまっていると言えるため、窓口を探すことは非常に困難と言えます。

誰かが1人を免除してしまうと、「1人だけ免除して今後どうするつもり?」「他の人からも免除してほしいと言われたとき責任は取れるの?」「どの家庭にも事情があるのに」などと責め立てられてしまうからです。

そして、誰もが辞退できない状況がつくりあげられた結果、現在も役員や旗持ちという制度が強制的な状態のままになってしまっているのでしょう。

本当に役員や旗当番は必要? そのメリット・デメリット

ここでは、リアルタイムで子供が小学校に通っている保護者たちと、子供が以前に小学校に通っていた保護者たちの生の声をご紹介します。

役員や旗当番のメリット

  • 立哨のおかげでスクールゾーンに侵入してくる車を防いだり、不審者から子供たちを守ることにつながったりしていると思う
  • 転勤族にとっては、手っ取り早く保護者の方と馴染めるチャンスになのでありがたい
  • いろいろな保護者と話せるので、学校のことなど情報交換ができる
  • 親同士が仲良くしていても陰湿なイジメがある場合もあるので何とも言えないが、保護者同士のコミュニケーションの場になっていて、子供同士の輪が広がるキッカケにもなっていると思う
  • 旗当番をしていると、子供の友達やほかの子供たちの様子もよくわかる

役員や旗当番のデメリット

  • ボランティアなのに辞めることができず、不満が募る
  • PTA役員の仕事は、廃止しても特に困るようなものが思い当たらず、何のメリットがあるのかがわからない
  • 保護者が立哨していることに子供たちが安心しきっていて、車への注意や危機感が薄い
  • 辞めたいと感じても、たらいまわしにされてしまい、結局は卒業までやるハメになる
  • 事情がある人への配慮がされにくい
  • 仕事や家庭の都合を優先しにくい雰囲気
  • 都合が悪いと先生に代わってもらうこともできるが、連続で続くと余計にほかの保護者に申し訳なく感じてしまう。できれば、旗当番自体から名前を削除してもらいたい
  • ほかの保護者とのコミュニケーションは参観日だけで十分。役員や旗当番をするメリットは思い浮かばない

見直されるべき役員や旗当番