大きな社会問題と化している特殊詐欺ですが、オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空請求詐欺、金融商品等取引名目詐欺など、様々なタイプの手口があります。警察庁の「特殊詐欺認知・検挙状況等(平成30年・確定値)について」(2018年)(※)によると、特殊詐欺は、2018年において、認知件数で1万6,496件、被害総額で363.9億円となっています。

なお、金融商品等取引名目詐欺とは、架空の未公開株や社債等の虚偽の情報を提供し、その購入名目で金銭をだまし取る詐欺です。

特殊詐欺では高齢者の被害が多く、被害者に占める高齢者(65歳以上)の割合は78.1%となっています。手口別では、オレオレ詐欺96.9%、金融商品等取引名目詐欺87.0%、還付金等詐欺84.6%と、3つの手口がとくに多くなっています。

銀行での厳しい対応、警察を呼ばれることも!?

特殊詐欺の被害を防ぐために、金融機関では、警察からの要請に基づき、高齢者が高額出金する際には、本人確認はもちろんのこと、使い道を確認し、場合によっては警察を呼ぶこともあります。この対応には、「自分のお金をおろすだけなのに、なぜこんなことをされなければならないのか」との不快の声も非常に多くきかれます。

しかしながら、このような警察と金融機関との連携で、詐欺を未然に防ぐことができた事例も多いようです。

そのため、最近の特殊詐欺では、犯人から、銀行に言わないようにとか、銀行に使用目的を聞かれた際の回答方法まで指示されることも多いようです。

特殊詐欺から身を守るために

まず、特殊詐欺のきっかけは電話であることが多いです。着信番号通知を活用し、知っている人以外の電話には直接出ないということは、トラブルを避ける一つの方法です。最近は、電話機に「迷惑防止」機能が付いているものもありますので、活用を検討してみてください。

また、役所や金融機関などが、消費税引き上げを理由に消費者個人に電話をかけてくることはありません。不審な電話があったら、すぐに最寄りの警察やお住まいの自治体の消費生活センターなどにご相談ください。

「お金やポイントが戻ってくる」などと言われても信用してはいけません。期限を設定されても焦ることなく、お金に絡む話は一人で判断せず、ATMへ行く前やお金を払う前に、家族や友人、警察へ相談してください。

おわりに

特殊詐欺については、マスコミでも何度も取り上げられ、注意喚起がされています。今回テーマに取り上げたのは「消費税の引き上げ」に便乗する詐欺ですが、さまざまな事例が明らかになる一方で、また新たな手口や切り口が生み出されおり、イタチごっこが続いています。
「私は大丈夫」と、被害にあった方々の多くもそう思っていました。本当に大丈夫か、十分に注意していただきたいと思います。
【参考】
※「特殊詐欺認知・検挙状況等(平成30年・確定値)について」警視庁
 

広瀬 まき