「うちの会社はリモートがなくなった」「いや、まだ週2で在宅」。同じ時期の話でも、聞く相手によって答えが違います。

出社回帰が話題になる一方で、制度としては残っている会社も多い。実際のところ、リモートワークはいまどのくらい広がっているのでしょうか。

国の統計には、この問いに答える調査が2つあります。総務省の「通信利用動向調査」と、国土交通省の「テレワーク人口実態調査」です。前者は2025年8月末時点、後者は2025年10月の調査で、いずれも最新の結果が公表されています。

ただし、この2つは測っているものが違います。そこも含めて確認していきます。

この記事の3つのポイント
  • テレワークを導入している企業の割合は50.1%で、前年の47.3%から2.8ポイント上昇
  • 雇用型テレワーカーの割合は25.2%、直近1年間のテレワーク実施率は16.8%
  • 首都圏の雇用型テレワーカーは37.7%、地方都市圏は17.2%と2倍以上の差

1. 企業の側から見ると、導入率は50.1%

まずは会社側の数字から見ていきます。

総務省が令和8年5月29日に公表した「令和7年通信利用動向調査」によると、テレワークを「導入している」と回答した企業の割合は50.1%でした。前年の47.3%から2.8ポイント上昇しています。

制度として導入済みの企業が、ちょうど半数に達したことになります。「導入していないが、今後導入予定がある」3.0%を加えると53.1%です。

推移を並べると、動きがはっきりします。

  • 令和元年:20.2%
  • 令和2年:47.5%
  • 令和3年:51.9%
  • 令和4年:51.7%
  • 令和5年:49.9%
  • 令和6年:47.3%
  • 令和7年:50.1%

コロナ禍を挟んで令和元年の20.2%から令和3年の51.9%まで一気に上がり、その後は令和6年の47.3%まで3年連続で低下。そして令和7年に再び50%台へ戻りました。

「リモートワークは廃止されつつある」という語り方をよく見かけますが、企業単位で見るかぎり、低下は令和6年でいったん止まった形です。

2. 働く人の側から見ると、25.2%

次に、実際に働いている人の数字です。

国土交通省が令和8年3月24日に公表した「令和7年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型テレワーカーの割合は25.2%でした。前年度から0.6ポイントの増加です。

ここでいう雇用型テレワーカーとは、雇用されて働く人のうち「これまでテレワークをしたことがある人」を指します。

さらに条件を絞った「直近1年間のテレワーク実施率」は16.8%。こちらは前年度から1.2ポイント増えています。おおよそ6人に1人が、この1年のあいだにテレワークをしたことになります。

雇用型テレワーカーの割合も、推移を見ると企業側と似た形を描いています。

  • 平成30年度:16.6%
  • 令和元年度:14.8%
  • 令和2年度:23.0%
  • 令和3年度:27.0%
  • 令和4年度:26.1%
  • 令和5年度:24.8%
  • 令和6年度:24.6%
  • 令和7年度:25.2%

令和3年度の27.0%がピークで、そこから3年連続で下降。令和7年度に増加へ転じています。国土交通省は報道発表で「安定基調で推移している」と表現しています。

なお、自営業などの自営型テレワーカーの割合は30.7%で、雇用型を上回っています。

【図表1】企業の「導入率」と、働く人の「テレワーカー割合」の推移1/2

【図表1】企業の「導入率」と、働く人の「テレワーカー割合」の推移

各種資料をもとにLIMO編集部作成

3. 「50.1%」と「25.2%」を引き算してはいけない

ここで注意したい点があります。

「企業の50.1%が導入しているのに、働く人は25.2%しかテレワークしていない」。数字を並べると、そう読みたくなります。ですが、この2つは引き算できません。

理由は、測っている対象がまったく違うからです。

総務省の調査は、企業が母集団です。しかも対象は公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業で、テレワーク導入状況の集計対象は2,488社(調査全体の有効回収数は2,489企業、回収率55.3%)。常用雇用者が100人に満たない企業は含まれていません。数えているのは「制度としてテレワークを導入している会社の数」です。

国土交通省の調査は、働く個人が母集団です。就業者4万人へのWEB調査で、数えているのは「テレワークをしたことがある人の数」。企業規模の制限はありません。

分母が会社なのか人なのか。カウントしているのが制度なのか実践なのか。前提が違う以上、両者の差を「使われていない率」のように扱うことはできません。

それでも2つを並べる意味はあります。制度の広がりと、実際に働く人の広がりは、別々に動くということが見えるからです。制度があっても対象が限られていれば、実践する人は増えません。この構造は、どちらか一方の数字だけを見ていては分かりません。

中沢 新
ここで少し脇道に逸れます。私自身、現在はリモートワークで働いています。地元の群馬県に住みながら仕事ができるのは、正直なところ大変助かっている部分です。通勤に時間を取られず、住む場所を先に決められる。制度としてこれが用意されていることの価値は、数字を追う以前に実感があります。 一方でネックだと感じているのが、メリハリのつけにくさです。出社していれば、移動そのものが切り替えのスイッチになります。自宅だと始業と終業の境目が曖昧になりやすく、意識して区切りをつけないと、働いている時間だけが少しずつ延びていく感覚があります。 本文で触れる厚生労働省のガイドラインでも、労働時間の管理や中抜け時間の取扱いに考え方が示されています。制度として使えるかという話とは別に、こうした運用の細かい部分が、続けられるかどうかを左右するのだろうと思います。