ふるさと納税で住民税が安くなる。そう聞いて、他の負担も一緒に軽くなるの?と疑問に思ったことがある人も多いでしょう。
総務省によると、ふるさと納税の控除は所得税と住民税に分かれ、住民税の控除にはさらに基本分と特例分があります。自己負担は原則2000円ですが、特例分が住民税所得割額の2割を超えると、実質負担額は2000円を超えます。
筆者は自治体で国民健康保険と後期高齢者医療の保険料の計算を担当していました。この記事では、控除のしくみを確認したうえで、保険料との関係を解説します。
- 控除は所得税分、住民税の基本分、住民税の特例分の3つに分かれて計算される
- ワンストップ特例を使うと所得税からの控除は発生せず、全額が翌年度の住民税から引かれる
- 住民税が下がっても、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は下がらない
1. 控除は3つに分かれて計算される
まず、税金からいくら差し引かれるのかの計算方法を確認します
1.1 所得税分と住民税の基本分
総務省の説明によると、所得税からの控除は「ふるさと納税額−2000円」に所得税の税率を掛けた額です。控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限になります。
住民税からの控除の基本分は、「ふるさと納税額−2000円」に10%を掛けた額です。こちらの対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
1.2 特例分には別の上限がある
住民税からの控除の特例分は、「ふるさと納税額−2000円」に「100%から10%と所得税の税率を引いた率」を掛けた額です。ただしこれは、特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合の計算になります。
特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は、住民税所得割額の20%が特例分になります。総務省は、この場合には3つの控除を合計しても「ふるさと納税額−2000円」の全額が控除されず、実質負担額は2000円を超えるとしています。
2. ワンストップ特例と確定申告では引かれ方が違う
次に、手続きによる違いを見ます。
2.1 ワンストップ特例は5団体以内
確定申告の不要な給与所得者などで、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り、各自治体に申請することで確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使えます。
総務省によると、5団体を超える自治体にふるさと納税を行った人や、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告を行う人は、控除を受けるために確定申告が必要です。医療費控除などで申告する場合は、ワンストップ特例だけでは足りないことになります。
2.2 引かれる先が変わる
確定申告を行うと、所得税分はその年の所得税から控除され、住民税分は翌年度の住民税から控除されます。
一方、ワンストップ特例の適用を受ける場合は所得税からの控除は発生せず、その分も含めた控除額の全額が、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税から減額される形になります。なお、申請後に転居などで申請書の内容に変更があった場合は、翌年の1月10日までに変更届出書を提出することになります。
保険料の計算では住民税の課税情報を参照していましたが、参照する項目は住民税の税額そのものではありません。ここが混同されやすいところです。
