子どもが2人いる世帯では、「うちは住民税非課税世帯に当てはまるのか」という疑問が、教育費や給付金の対象範囲を確認する場面でよく出てきます。扶養親族が増えるほど非課税限度額も上がるため、単身世帯の基準をそのまま当てはめると誤解が生じやすいポイントです。
この記事では、子ども2人(扶養親族2人)の世帯を対象に、住民税非課税になる年収の目安を、級地区分別・共働きかどうか別に一次資料に基づいて整理します。
- 片働きで子ども2人(扶養親族3人)の世帯は、給与収入換算で1級地255.7万円・2級地約232.7万円・3級地209.7万円が非課税の目安です。
- 共働きの場合は、扶養親族の数え方が変わるため、非課税限度額の計算式も変わります。
- 非課税限度額は居住地の級地区分によって異なり、全国一律の金額ではありません。
1. 片働き・子ども2人世帯の非課税限度額を計算する
まず、配偶者が扶養に入っている片働き世帯で、子ども2人も扶養親族に該当するケースを確認します。この場合、扶養親族は配偶者と子ども2人の合計3人です。
1.1 基本額を4人分(本人+扶養親族3人)で計算する
総務省の資料によると、非課税限度額は「本人を含めた世帯人数分の基本額」に「扶養親族がいる場合の加算額」と「生活扶助相当額10万円」を足して計算します。扶養親族が3人(配偶者・子2人)いる場合、本人を含めた4人分の基本額を計算します。
1級地では35万円×4人分+21万円+10万円=171万円、2級地では31.5万円×4人分+18.9万円+10万円=154.9万円、3級地では28万円×4人分+16.8万円+10万円=138.8万円が非課税限度額(所得)の目安です。
この所得を給与収入に逆算すると、給与収入換算では1級地255.7万円・2級地約232.7万円・3級地209.7万円が目安になります(令和8年度税制改正による最低保障額引き上げ特例を反映)。
この給与収入換算は年度によって計算式が変わる点に注意が必要です。給与所得控除の最低保障額は令和8年度分65万円→令和9年度分・令和10年度分74万円という時限特例があり、これに応じて逆算に使う計算式の分岐点(所得125万円→146万円)も動きます。
1級地・2級地(所得171万円・154.9万円)は令和9年度分も同じ計算式が続くため金額は変わりませんが、3級地(所得138.8万円)は令和9年度分に分岐点をまたぐため212.8万円に変わります。
1.2 【片働き・子ども2人世帯の非課税限度額と給与収入換算】
- 1級地:非課税限度額171万円/給与収入換算255.7万円
- 2級地:非課税限度額154.9万円/給与収入換算約232.7万円
- 3級地:非課税限度額138.8万円/給与収入換算209.7万円
2. 【編集者の視点】
ここで注意したいのは、「子どもが2人いる=扶養親族が2人」とは限らない点です。扶養親族として数えられるのは、原則として16歳以上の親族のうち、税法上の扶養控除の対象になる人(合計所得金額などの要件を満たす人)です。16歳未満の子どもは、税法上の扶養控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税限度額の計算においては「扶養親族等」として人数にカウントされる点に注意が必要です。
つまり、扶養控除の対象になるかどうかと、非課税限度額の計算に使う人数は、必ずしも同じ考え方ではありません。子どもの年齢や所得の状況によって、実際にカウントすべき人数が変わる可能性がある点は、見落としやすいポイントです。
実務上の防衛策としては、自分の子どもが非課税限度額の計算上「扶養親族等」に該当するかどうかを、年齢や所得の要件も含めて確認することです。判断に迷う場合は、市区町村の税務担当窓口に相談することをおすすめします。
3. 共働き世帯の場合、計算の前提が変わる
共働きで、配偶者自身にも一定の収入があり、扶養に入っていない場合は、扶養親族の数え方が変わります。
3.1 子ども2人のみが扶養親族の場合
配偶者が扶養に入っておらず、子ども2人のみが扶養親族に該当する場合、本人を含めた世帯人数は3人(本人+子ども2人)になります。1級地では35万円×3人分+21万円+10万円=136万円、2級地では31.5万円×3人分+18.9万円+10万円=123.4万円、3級地では28万円×3人分+16.8万円+10万円=110.8万円が非課税限度額の目安です。
給与収入換算では、令和8年度分は1級地205.7万円・2級地約188.4万円・3級地175.8万円が目安になります。片働き世帯の基準(1級地255.7万円など)と比べると、共働き世帯の本人側の非課税限度額はやや低くなる点に注意が必要です。ただし、この場合は配偶者にも別途所得があるため、世帯全体の収入としては共働きの方が多くなるのが一般的です。
令和9年度分・令和10年度分は、給与所得控除の最低保障額引き上げ特例(74万円)により、すべて分岐点(所得146万円)の内側に収まるため、1級地210万円・2級地約197.4万円・3級地184.8万円へと目安が上がります。
非課税かどうかは本人ごとの所得で判定されるため、世帯収入が多くても本人側は非課税に該当する場合がある点も押さえておきたいところです。
3.2 【共働き・子ども2人のみ扶養の場合の非課税限度額と給与収入換算】
- 1級地:非課税限度額136万円/給与収入換算205.7万円
- 2級地:非課税限度額123.4万円/給与収入換算約188.4万円
- 3級地:非課税限度額110.8万円/給与収入換算175.8万円
4. 【編集者の視点】
共働き世帯でもう一つ注意したいのが、扶養親族を夫婦のどちらの扶養に入れるかで、それぞれの非課税限度額が変わるという点です。例えば、子ども2人を夫の扶養に入れている場合、妻は扶養親族なし(本人のみ)の非課税限度額(1級地45万円など)で判定される一方、夫は扶養親族2人分を加算した限度額で判定されます。
この配分は年末調整や確定申告のタイミングで選択できる場合が多く、どちらに寄せるかによって、世帯全体で見たときの非課税・課税の結果が変わる可能性があります。特に、どちらか一方の所得が非課税限度額のボーダーラインに近い場合は、扶養親族の配分によって結果が変わり得る点を意識しておく必要があります。
実務上の防衛策としては、扶養親族の配分を決める前に、それぞれの非課税限度額と実際の所得を照らし合わせてシミュレーションしてみることです。判断に迷う場合は、年末調整の際に勤務先の担当者や、確定申告の際に税務署・税理士に相談することをおすすめします。
※本記事は、編集部が総務省・国税庁が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
5. 非課税になると、子ども関連の支援はどう変わるか
子ども2人がいる世帯で非課税に該当した場合、教育費や保育に関わる支援の一部で優遇が受けられます。
5.1 高等教育の修学支援新制度・保育料の優遇
文部科学省・日本学生支援機構(JASSO)が実施する「高等教育の修学支援新制度」では、住民税非課税世帯(または近い所得水準の世帯)を対象に、大学等の授業料等減免と給付型奨学金が用意されています。私立大学・自宅外通学の場合、授業料減免の上限は約70万円、入学金は約26万円、給付型奨学金は年額約91万円が目安です。
また、0〜2歳児クラスの保育料は、原則としてすべての世帯が対象になる3〜5歳児クラスの無償化とは異なり、住民税非課税世帯に限って無償になる仕組みです。子どもが2人とも保育園に通う年齢の場合、この違いは家計への影響が大きくなりやすいポイントです。
6. 児童手当は非課税かどうかにかかわらず支給される
ここで混同しやすいのが、「児童手当」と「住民税非課税世帯向けの支援」は別の制度だという点です。
6.1 児童手当は所得制限が撤廃され、非課税世帯限定ではない
こども家庭庁の資料によると、児童手当は2024年度の制度改正により所得制限が撤廃されており、住民税が非課税かどうかにかかわらず、対象年齢の子どもがいる世帯であれば支給されます。一方、高等教育の修学支援新制度や保育料の無償化拡大部分は、住民税非課税世帯であることが条件になっている点で、児童手当とは仕組みが異なります。
「子どもがいる世帯向けの支援」とひとくくりにされがちですが、非課税かどうかで対象が変わる制度と、そうでない制度が混在しているため、それぞれの支援がどちらに当てはまるのかを個別に確認する必要があります。
7. 教育費の負担を考えるうえで押さえておきたい視点
子ども2人の教育費を考えるとき、非課税限度額のボーダーライン付近にいる世帯ほど、収入の増減が支援の対象・対象外を分けるきっかけになりやすい点にも注意が必要です。
7.1 収入が非課税限度額を少し超えるだけで支援の対象外になることがある
高等教育の修学支援新制度は、住民税非課税世帯だけでなく、それに準ずる所得水準の世帯も、段階的に支援額が減額されるかたちで対象に含まれる仕組みになっています。ただし、この「準ずる世帯」の基準を超えると、支援は受けられなくなります。収入が非課税限度額やその近辺のラインをわずかに超えるだけで、支援額が大きく変わってしまう可能性がある点は、進学を控えた世帯にとって特に重要な情報です。
共働きを検討している世帯や、収入が増える見込みがある世帯は、収入の増加によって非課税の基準や修学支援の基準を超えないかどうかを、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。基準を超えるかどうかのボーダーライン上にある場合は、増収のタイミングや扶養親族の配分を工夫することで、結果が変わる可能性もあります。
具体的な試算や制度の詳細については、日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトや、進学予定の学校の奨学金窓口、お住まいの市区町村の窓口に相談することをおすすめします。制度は年度ごとに見直される場合もあるため、最新の公表情報をあわせて確認しておくと安心です。
8. まとめ
- 片働き・子ども2人(扶養親族3人)世帯の非課税限度額は、給与収入換算で1級地255.7万円・2級地約232.7万円・3級地209.7万円が目安です。
- 共働きで子ども2人のみを扶養に入れている場合は、本人側の非課税限度額が1級地205.7万円・2級地約188.4万円・3級地175.8万円と、片働きより低くなります。
- 16歳未満の子どもは税法上の扶養控除の対象にはなりませんが、非課税限度額の計算上は扶養親族等としてカウントされます。
- 共働き世帯では、扶養親族をどちらの扶養に入れるかによって、それぞれの非課税限度額が変わります。
子ども2人がいる世帯の非課税限度額は、単身世帯の基準よりも大きく上がりますが、その前提となる「扶養親族の数」は、片働きか共働きか、扶養親族をどちらに寄せているかによって変わります。単純に「子どもが2人いるから」という理由だけで判断せず、自分の世帯の扶養親族の数え方を正確に確認することが重要です。
児童手当のように非課税かどうかに関係なく支給される制度もあれば、修学支援新制度のように非課税であることが条件に組み込まれた制度もあります。それぞれの支援の対象条件を切り分けて把握しておくことが、家計の見通しを立てるうえで欠かせません。
自分の世帯が非課税に該当するかどうかを具体的に確認したい場合は、お住まいの市区町村の税務担当窓口に相談することをおすすめします。進学を控えた世帯は、修学支援新制度の基準との距離感もあわせて確認しておくと、支援の見込みが立てやすくなります。
9. よくある質問
9.1 Q. 子ども2人がいる世帯の非課税限度額はいくらですか。
A. 片働きで配偶者と子ども2人が扶養親族(扶養親族3人)の場合、給与収入換算で1級地255.7万円・2級地約232.7万円・3級地209.7万円が目安です。ただし居住地の級地区分や扶養親族の状況によって金額は変わります。
9.2 Q. 共働きの場合、非課税限度額はどう変わりますか。
A. 配偶者が扶養に入っておらず子ども2人のみが扶養親族の場合、本人側の非課税限度額は片働きより低くなり、1級地205.7万円・2級地約188.4万円・3級地175.8万円が目安です。世帯全体の収入で見るのではなく、本人・配偶者それぞれの所得で個別に判定される点に注意してください。
9.3 Q. 16歳未満の子どもは非課税限度額の計算に含めますか。
A. 含めます。16歳未満の子どもは税法上の扶養控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税限度額の計算では扶養親族等としてカウントされます。扶養控除の要件と非課税限度額の計算要件は別物である点に注意してください。
9.4 Q. 児童手当は住民税非課税世帯でないと受け取れませんか。
A. 受け取れます。児童手当は2024年度の制度改正で所得制限が撤廃されており、住民税が非課税かどうかにかかわらず、対象年齢の子どもがいる世帯であれば支給される仕組みです。
9.5 Q. 収入が非課税限度額を少し超えただけでも、教育費の支援はすべて受けられなくなりますか。
A. 制度によって異なります。高等教育の修学支援新制度は非課税世帯に準ずる所得水準の世帯も段階的な支援の対象に含まれますが、一定の基準を超えると対象外になります。児童手当のように非課税かどうかに関係なく支給される制度もあるため、支援ごとに条件を確認する必要があります。具体的な基準は日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトで確認できます。
参考資料
LIMO編集部家計解説班
