60歳を過ぎてから「これから何歳まで、どのくらいのペースで働くか」を考える場面が増えます。その判断の土台になるのが、自分がいくら年金を受け取れるのかという見通しです。
2026年度の年金額は4年度連続のプラス改定となり、改定後の金額は6月支給分から反映されています。ただし実際に振り込まれる額は、現役時代の加入状況によって一人ひとり違います。
この記事では、公的年金の仕組みと2026年度の改定額を確認したうえで、厚生労働省年金局のデータから60歳から90歳以上までの平均年金月額を1歳刻みで整理し、男女別の平均額と受給額の分布までを見ていきます。
なお、公的年金の仕組みや年代別・全体の平均年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 公的年金は2階建て。1階の国民年金は加入期間で決まる定額、2階の厚生年金は収入と加入期間で変わる。
- 2026年度は4年度連続のプラス改定。国民年金は満額で月額7万608円、厚生年金はモデル世帯で月額23万7279円となった。
- 65歳以降の平均年金月額は、厚生年金が14万円~16万円台、国民年金が5万円~6万円台。60歳代前半は水準が一段低い。
1. 公的年金の仕組み|1階の国民年金と2階の厚生年金
公的年金の基本的な仕組みについては、LIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」から要点を確認しておきましょう。
日本の公的年金は、2階建て構造で、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(会社員・公務員)となっています。国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。受給額は加入期間に応じて決まりますが、満額でも月約7万円程度が目安です。厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せして支給されます。保険料は給与から天引きされ、収入や加入期間によって将来の受給額が変わります。
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
1階は加入期間だけで決まる定額、2階は収入と加入期間の両方で変わる仕組みです。年金額の個人差は、ほぼ2階部分の積み上がり方の違いから生まれます。
2. 2026年度の年金額|4年度連続のプラス改定
厚生労働省によると、2026年度の年金額の例は次のとおり決定されました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。このように年齢により受給額が異なります。
※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金の23万7279円は、夫婦の合計額です。2026年度の年金額改定の詳しい内容はLIMOの記事でも解説しています。
上記の注釈があるとおり、「40年間会社員として月額45万5000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間第3号被保険者(もしくは自営業など)だった妻の国民年金」が想定されています。現代では共働き世帯や単身世帯、自営業の方などライフスタイルは多岐にわたります。この金額はあくまで一つの指標であり、実際の受給額はこれまでの加入状況によって一人ひとり大きく異なる点に留意が必要です。
ちなみに、2025年度(令和7年度)は23万2784円でした。今回で4年度連続のプラス改定となります。また国民年金の満額は、2025年度が6万9308円であり今回も増額しています。
3. 【厚生年金】60歳から90歳以上までの平均年金月額一覧
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。年代別の年金一覧表とあわせて確認していきましょう。
厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。
はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
3.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
3.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
3.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:16万4027円
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。
3.5 【独自試算】65歳を境にした段差は月約5万8000円
60歳代の一覧表を見ると、65歳の前と後で水準が大きく変わっています。この段差がどれくらいなのか、5年ずつの平均を出して比べてみましょう。
- 60歳から64歳の平均:約9万3220円
- 65歳から69歳の平均:約15万1718円
- その差:約5万8498円
60歳代前半と後半では、月に6万円近い開きがあります。標準的な受給開始年齢が65歳であるため、それ以前の年齢層には特別支給の老齢厚生年金で報酬比例部分のみを受け取っている人などが混ざり、水準が下がります。
年齢別に細かく見ると、落ち込みはさらに急です。
- 62歳10万9323円 → 63歳6万8758円:4万565円の落ち込み
- 63歳6万8758円と65歳14万9862円の差:8万1104円
つまり60歳代前半は、公的年金だけでは水準が届きにくい期間だといえます。この時期の収入をどう組み立てるかが、60歳以降の働き方を考えるうえでの起点になります。
※厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に記載された年齢別の平均年金月額を単純平均・差分計算した目安です。各年齢の母数や受給状況の違い(繰上げ受給、特別支給の老齢厚生年金など)は考慮していません。実際の受給額は個人ごとに異なります。
4. 【国民年金】60歳から90歳以上までの平均年金月額一覧
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
4.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
4.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
4.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
4.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:5万5633円
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円~6万円台となっています。厚生年金の一覧と並べると、国民年金は年齢による差がほとんどない、いわば横一線の形をしていることがわかります。
5. 厚生年金・国民年金の男女別平均と受給額の分布
60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
5.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
厚生年金では、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
5.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
6. 制度間の差はどれほどか|編集部試算と監修者コメント
6.1 【独自試算】厚生年金と国民年金の差は25年で2729万円
この記事に出てきた2つの平均額を並べると、制度による差の大きさがはっきりします。
- 厚生年金〈全体〉15万289円 - 国民年金〈全体〉5万9310円 = 月9万979円
- 年間に換算すると:109万1748円
- 65歳から90歳までの25年間の累計:2729万3700円
2階部分があるかどうかで、生涯の受給額に2700万円を超える差が生まれる計算になります。老後資金として一般に語られる金額をはるかに上回る規模です。
一方で、今回の改定による増額分はどうでしょうか。
- 厚生年金モデル世帯:23万7279円 - 23万2784円 = 月4495円(年5万3940円)
- 国民年金満額:7万608円 - 6万9308円 = 月1300円(年1万5600円)
4年度連続のプラス改定は確かな増額ですが、厚生年金モデル世帯の増額分4495円は、制度間の差9万979円に対して約4.9%にとどまります。年度ごとの改定で埋まる差ではない、ということです。
この構造は、60歳以降にどう働くかという判断にも関わってきます。厚生年金に加入して働く期間を延ばせば、その分は2階部分に積み上がります。改定を待つよりも、加入期間を伸ばすほうが動かせる幅は大きいといえます。
※この記事に掲載された平均年金月額および2026年度・2025年度の年金額の例をもとにした目安の試算です。モデル世帯の金額は一定の前提を置いた基準値で、平均額とは性質が異なります。25年間の累計は金額が一定で推移すると仮定した単純計算で、年金額の改定や税・社会保険料の控除は考慮していません。
この記事の数字は、いずれも厚生労働省年金局の一次データに基づくものです。年齢別、男女別、そして1万円刻みの分布と、3つの角度から並んでいます。平均額だけを見て判断せず、分布まで確認していただきたいところです。
とくに押さえておきたいのが、60歳代前半の水準です。65歳になるまでの期間は、公的年金だけでは届きにくい局面にあたります。ここを給与で埋めるのか、手元の資産で埋めるのか、あるいは両方を組み合わせるのか。この設計を先に決めておくと、働き方の選択が具体的になります。
もう一点、この記事の金額はすべて額面です。実際に使えるのは、介護保険料や国民健康保険料、所得税・住民税が差し引かれた後の金額になります。年金からの天引きは自動的に行われるため気づきにくいのですが、振込通知書に内訳が記載されています。額面と手取りの差は、一度確認しておく価値があります。
そのうえで、ご自身の見込み額はねんきん定期便やねんきんネットで確認してください。50歳以上の方であれば、現在の加入条件が続いた場合の見込み額まで表示されます。一覧表の平均と自分の額を比べるのではなく、自分の額を起点に生活費との差を見ていく。その順番が、老後の設計では実用的です。















