半導体関連銘柄がまちまちの動きとなるなか、ソシオネクスト(6526)は24日、3営業日ぶりとなる反落となりました。

同じ半導体関連でも東京エレクトロンが前日比+1.58%高となった一方、アドバンテストは▲3.90%安、キオクシアホールディングスも▲6.24%安と大きく値を下げました。

ソシオネクストの下落幅も前日比▲64.5円(▲3.24%)と大きめで、銘柄ごとに明暗が分かれる展開です。

同社を支えている事業の中身を、7月29日に発表された最新の決算から読み解いていきます。

ココがポイント
  • 値動きの荒い半導体株ソシオネクスト、Solution SoC事業の中身を決算から読み解く
  • 製品売上とNRE売上の2本柱のうち、今回はNRE売上の伸びが上回る一方、研究開発費の先行増加で四半期損失に転落
  • TSMC・インテルの複数ファウンドリ体制と、最新の株価バリュエーション

1. 決算から読み解く、Solution SoC事業を支える2つの売上区分

7月29日の大引け後に発表した2027年3月期第1四半期(4〜6月期)決算は、売上高が前年同期比13.0%増の390億3,900万円。

一方、研究開発費が前年同期比19.2%増の169億7,800万円に膨らんだ結果、営業損益は6億6,200万円の損失(前年同期は14億4,000万円の利益)、経常損益は7億8,200万円の損失(前年同期7億1,700万円の利益)、純損益は5億8,000万円の損失(前年同期4億6,100万円の利益)と、いずれも赤字に転落しました。

同社は、顧客の要求仕様に合わせてカスタムSoC(システムオンチップ)を設計・開発する「Solution SoC」モデルの単一セグメントで、売上高は量産段階の製品を出荷する「製品売上」と、受託設計にかかる開発費を段階的に回収する「NRE売上」の2つの区分から成ります。

今回は、北米データセンター向け新規量産品の試作関連などがNRE売上を前年同期比37.1%増の115億9,400万円まで押し上げた一方、車載向け量産品の一部出荷が第2四半期にずれたこともあり、製品売上は274億円(前年同期比5.9%増)と伸びは相対的に緩やかでした。

次の量産に向けた試作・先行開発への投資がかさむ四半期は損益が下振れしやすく、量産が本格化する四半期には収益が押し上げられやすいという「開発投資が先行し、量産がそれを追いかける」構図が、今回の四半期損失の背景にあります。通期予想は売上高2,150億円(+7.1%)など、4月28日公表分から変更ありません。

2. 強み:注力分野での大型商談と複数ファウンドリ体制

同社は今回の決算のなかで、AIをはじめとする新サービス・アプリケーションの登場やSoC設計の複雑化を背景に、注力分野であるオートモーティブ、データセンター/ネットワーク、インダストリアル/スマートデバイスの各分野で多くの大型商談を獲得していると説明しています。

これらの商談は、量産開始前のNRE売上への寄与に加え、段階的に製品売上にも寄与していく見込みです。

生産面では7月1日にTSMCの1.4ナノメートル世代プロセス「A14」を活用した高性能コンピュート向けチップレットの開発を発表したほか、8月18日にはインテル ファウンドリの最先端プロセス「18A-P」の採用も発表しました。

従来はTSMCの先端プロセスが主でしたが、複数の製造委託先(ファウンドリ)を持つことで、需要が増える局面での生産キャパシティの確保や、顧客ごとの性能・コスト要件に応じた選択肢を広げられる点が強みとして期待されます。

ここまでを整理すると、ソシオネクストは製品売上とNRE売上の2本柱で成り立つ「Solution SoC」モデルの単一セグメント企業で、今回はNRE売上の伸びが製品売上を上回りました。四半期損失は、量産に先立つ開発投資が一時的に膨らんだことによるもので、通期の業績予想自体は変更されていません。

加えて、TSMCとインテルという複数のファウンドリ体制を敷くことで、注力分野の大型商談を製品化していく上での選択肢を広げています。