米長期金利の上昇や中東情勢を巡る先行き不透明感を背景に、東京市場では軟調な地合いが続いています。

そうしたなか、PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、7532)の株価は8月21日、ようやく反発に転じています。

もっとも、同社株はここ2日、冴えない展開が続いていました。18日の大引け後に発表した2026年6月期決算を受けて、翌19日に大きく売られていたためです。

決算の内容自体は、売上高・営業利益・経常利益・純利益の主要4指標がすべて増収増益となる好調な内容でした。なぜ好決算にもかかわらず株が売られたのか、詳しく見ていきましょう。

ココがポイント
  • 2026年6月期は売上高8.8%増・純利益21.6%増の大幅増収増益、しかし株価は決算翌営業日に11.08%の急落

  • 北米事業(営業利益+53.2%)・アジア事業(+186.0%)の急回復が全社増益を牽引した構図

  • 来期(2027年6月期)は増益ペースが大幅減速する見通し

1. PPIH(7532)、2026年6月期は8.8%増収・21.6%増益

2026年6月期の連結業績は、売上高2兆4,452億6,000万円(前期比+8.8%)、営業利益1,748億4,200万円(+7.7%)、経常利益1,775億900万円(+12.0%)、純利益1,100億8,800万円(+21.6%)と、主要4指標がすべて増収増益となりました(EPS36円84銭、前期30円32銭)。

増益を牽引したのは海外事業です。国内事業(売上2兆681億9,500万円・+9.1%、営業利益1,658億2,900万円・+4.9%)に対し、北米事業は営業利益34億9,700万円(+53.2%)、アジア事業は55億1,700万円(+186.0%)と急拡大しました。

北米はグアムでの粗利改善や前期に発生した在庫処分の反動増、アジアは現地調達強化による客数増と不採算店舗の整理による販管費効率化が、それぞれ寄与しました。

2. 好決算でも株価が急落したのはなぜか?来期の増益ペース減速が重荷に

同時に発表された2027年6月期の業績予想は、今期実績に比べて増益ペースが大きく鈍化する内容でした。

売上高2兆6,870億円(+9.9%)に対し、営業利益は1,790億円(+2.4%)、経常利益は1,753億円(▲1.2%、減益予想)、純利益は1,105億円(+0.4%)と、ほぼ横ばいの計画です。

一方、アイフィスジャパン集計のアナリストコンセンサス(8月20日時点)は、売上高2兆6,576億5,000万円(+8.7%)、営業利益1,858億1,300万円(+6.3%)、経常利益1,870億300万円(+5.3%)、純利益1,189億円(+8.0%)と、会社予想を上回る増益シナリオを描いています。

経常利益は会社予想が減益、コンセンサスが増益と方向自体が分かれており、純利益も会社予想の+0.4%に対しコンセンサスは+8.0%と、市場の期待の方がかなり強気です。この会社予想の保守性と市場期待とのギャップが、好決算にもかかわらず株価が急落した一因になったとみられます。

慎重な計画の背景として、最低賃金の上昇や継続的な報酬改定による人件費の増加、外形標準課税の適用子会社増加による税負担、新規出店や新業態転換に伴う投資費用の増加が挙げられています。

あわせて同社は、円安進行による物価上昇やエネルギー価格の高騰を背景に、来期も厳しい経営環境が続くとの見通しを示しています。免税売上高は過去最高を更新した一方、その高い基準自体が来期の伸び率を数字の上で抑えやすくする面もありそうです。

21日には日経平均が小幅に反落する中で同社株は小幅高となり、急落一巡後にやや落ち着きを取り戻しつつある様子もうかがえますが、決算発表当日の水準(915.5円)にはなお届いておらず、来期見通しに対する市場の慎重な見方が引き続き重荷になっているとみられます。