「ねんきん定期便」に記載された見込額を見て、「これならなんとかなりそう」とほっとした経験がある方もいるのではないでしょうか。

ご自身の年金額を初めて具体的な数字で見ると、老後への不安が和らぐこともあります。

ただし、ねんきん定期便の見込額は、年齢や記載時期によって前提となる条件が異なります。50歳以上の方に届く見込額は、60歳まで今と同じ働き方を続けた場合の試算であり、年金額改定によっても数字は変わっていきます。

中本 智恵
銀行員だった頃、窓口で通帳に記帳された年金の振込額を目にする機会が何度もありました。振込額だけを見て、年金だけでは心もとないと感じる方の声を聞いたことも、一度や二度ではありません。

この記事では、ねんきん定期便の見込額がどのような前提で算出されているか、そして令和8年度の年金額改定の内容を確認します。

ココがポイント
  • ねんきん定期便の見込額は、50歳未満と50歳以上で記載される前提が異なる
  • 令和8年度の老齢基礎年金の満額(1人分)は「7万608円」(生年により「7万408円」)
  • 見込額はあくまで額面であり、実際の振込額は税金・社会保険料が引かれた後の金額になる

1. 「ねんきん定期便」の見込額はどうやって決まるのか

ねんきん定期便は、日本年金機構から加入者に毎年届くお知らせで、年金の加入記録や見込額が記載されています。ただし、見込額の算出方法は年齢によって異なるため、まず仕組みを見ていきましょう。

1.1 50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」

50歳未満の方(35歳・45歳の封書を除く)に届くねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。

これは、これまで納めた保険料をもとにした金額であり、今後の加入状況によって実際の受給額は変わっていきます。

1.2 50歳以上は「老齢年金の種類と見込額」

50歳以上の方(59歳の封書を除く)には、老齢年金の種類と見込額として、60歳まで現在の働き方を続けた場合に65歳から受け取れる年金額が記載されます。

実際の加入条件と将来の働き方が変わる予定がある場合、この見込額はそのまま当てはまらないこともあるため注意が必要です。

ねんきん定期便の見込額は、50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上は「老齢年金の種類と見込額」として記載され、前提条件が異なることを示す図解1/2

ねんきん定期便の見込額は、50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上は「老齢年金の種類と見込額」として記載され、前提条件が異なることを示す図解

日本年金機構「ねんきん定期便」をもとにLIMO編集部作成

中本 智恵
50歳を境に見込額の前提が変わることは、意外と知られていない印象があります。ご自身の年齢によって、どちらの前提で数字が出されているのかを確認しておくと、見込額の見方を誤解しにくくなります。

2. 令和8年度の年金額改定と、見込額を読むときに知っておきたいこと

ねんきん定期便の見込額は、記載時点の年金額をもとに算出されています。年金額は毎年度改定されるため、最新の基準もあわせて確認しておきましょう。

2.1 令和8年度の老齢基礎年金の満額

厚生労働省は、令和8年度の老齢基礎年金の満額(1人分)を「7万608円」と発表しました。

昭和31年4月1日以前に生まれた方の満額は「7万408円」となっており、生まれた時期によって金額が異なる点も押さえておきたいところです。

2.2 見込額はあくまで額面であること

ねんきん定期便に記載される見込額は、税金や社会保険料が差し引かれる前の額面です。

実際に口座へ振り込まれる金額は、この見込額よりも少なくなることも覚えておく必要があります。

中本 智恵
銀行員だった頃、窓口で記帳された通帳を見せてもらうと、年金の振込額がそのまま生活費に回っている方も多いという実感がありました。ねんきん定期便の見込額を見て安心する方が多いという声を聞いたのも、そうした窓口でのやり取りの中でのことです。