お盆の帰省などを機に、親の介護が現実味を帯びてきたという方は少なくないでしょう。
公益財団法人生命保険文化センターの最新調査によると、実際の平均額は月9.0万円、介護期間の平均は4年7カ月続きます。単純にかけ合わせるだけで、総額は結構まとまった金額になりますね。
一方で、家計の貯蓄額を見ると「平均」と「中央値」の差が大きく、多くの世帯にとって介護資金は思ったより心もとない可能性があります。
本記事では、公的データをもとに介護費用の総額を試算し、自己負担割合の仕組みや、今後の制度の見直し動向、家計としての備え方を整理します。
-
介護費用は月平均9.0万円、一時費用47.2万円、平均期間4年7カ月から試算すると総額は約542万円
-
二人以上世帯の貯蓄は「平均」1940万円に対し、「中央値」は720万円と半分以下。60代でも差は大きいままです
-
介護保険の自己負担割合は所得で1〜3割に変動し、2割負担の対象拡大は厚労省の審議会で今も検討課題
1. 「介護資金」貯蓄はいくら必要? 月9万円×平均4年7カ月で総額を試算
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、過去3年以内に介護経験がある人が回答した介護費用の平均は次のとおりです。
- 一時的な費用(住宅改造・介護用ベッド購入など):平均47.2万円
- 月々の費用(在宅・施設合計の平均):平均9.0万円
- うち在宅で介護する場合:平均5.3万円
- うち施設で介護する場合:平均13.8万円
- 介護を行った期間の平均:55.0カ月(4年7カ月)
この平均値をもとに単純計算すると、一時費用47.2万円に、月々の費用9.0万円を平均期間の55カ月分かけた495万円を加えた、総額約542万円が一つの目安となります。
もちろんこれはあくまで平均であり、在宅か施設か、要介護度がどの程度かによって実際の負担額は大きく変わります。
4年を超えて介護をした人は全体の約4割を占めており、想定より長引くケースも珍しくない点には注意したいところです。
2. 在宅と施設で費用はどう違う? 自己負担割合の基準も確認しておく
前述のとおり、月々の費用は在宅で介護する場合の平均5.3万円に対し、施設で介護する場合は平均13.8万円と、2倍以上の開きがあります。
施設入所には居住費や食費、サービス加算などが加わるため、在宅よりも月額の負担が重くなりやすいといえます。
介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかに区分されます。厚生労働省の資料によれば、判定の目安は次のとおりです。
2.1 所得で変わる自己負担割合の目安
本人の合計所得金額が160万円未満であれば1割負担、160万円以上220万円未満であれば2割負担(一定以上所得者)、220万円以上であれば3割負担(現役並み所得者)となります。
ただし同一世帯の第1号被保険者全員の年金収入等の合計額による判定もあり、単身世帯か複数世帯かでも基準額が異なります。市町村民税が非課税の世帯や生活保護受給世帯は、これらにかかわらず1割負担となります。
つまり、自分や親がどの区分に該当するかによって、同じ介護サービスを受けても実際の自己負担額には差が出ます。介護保険負担割合証は毎年見直されるため、最新の区分を確認しておくことが欠かせません。
3. 筆者からのコメント
本文で紹介した自己負担割合とあわせて知っておきたいのが、「高額介護サービス費」という負担軽減の仕組みです。
1カ月に支払った自己負担額が一定の上限を超えると、超えた分が払い戻される制度で、厚生労働省の通知(令和3年8月適用分)によると、上限額は世帯の課税所得に応じて段階的に定められています。
目安として、課税所得380万円未満の世帯であれば月4万4400円、380万円以上690万円未満であれば月9万3000円、690万円以上であれば月14万100円が上限となります。
つまり自己負担は際限なく膨らむわけではありません。ただし、この上限額はあくまで介護保険の対象となるサービス費用が対象で、施設の居住費や食費、保険外サービスの費用は含まれない点には注意が必要です。
こうした軽減制度の存在も知っておくと、必要以上に不安を膨らませずに備えを検討しやすくなるはずです。制度の詳細は市区町村の介護保険窓口でも確認できます。

