家庭の食卓に、久しぶりの明るい話題が届きました。
帝国データバンクが独自に試算する「カレーライス物価指数」によると、2026年6月のカレーライス物価は1食あたり351円。前月から10円下がり、下げ幅としては過去10年で最大でした。
記録的だったコメの高騰が落ち着き、家庭の定番メニューにようやく一息つける材料が出てきたわけです。
ところが、視線を食卓全体に広げると、まったく逆の景色が広がっています。
帝国データバンクの別の調査では、食品主要195社による2026年8月の値上げは2311品目、9月には今年最多となる4531品目の値上げが控えています。
「カレーは安くなった」のに「食品全体は値上げラッシュ」という、一見矛盾する2つの現象は、なぜ同時に起きているのでしょうか。
- カレーライス物価は1食351円、前月比▲10円で過去10年最大の下げ幅
- 一方、食品195社の値上げは9月に4531品目と今年最多の見通し
- 値上げの27.8%は中東情勢由来。消費税1%への引き下げ方針も閣議決定
1. そもそも「カレーライス物価指数」とは何か
カレーライス物価指数は、帝国データバンクが独自に算出している経済指標です。
家庭でカレーライスを調理する際に必要な原材料や水道光熱費の価格(全国平均)をもとに算出されています。
コメ、カレールー、肉、じゃがいも、にんじん、たまねぎといった具材や調味料の価格は、総務省の「小売物価統計調査」の全国平均値を参照しており、6食分(市販のカレールー1/2パックを使用)をまとめて調理した場合のコストを、1食あたりに換算する仕組みです。
2020年平均を100とした指数としても公表されており、2026年6月の指数は137.1でした。
身近な家庭料理を通じて物価高の実感を数値化できることから、家計への影響を測るわかりやすい指標として注目されています。
2. カレー物価が「10年ぶりの急落」となった理由
2026年6月のカレーライス物価は1食351円でした。
前月(5月:361円)から10円下がり、この下げ幅は同一基準で比較できる2016年以降の10年間で最大です。
前年同月(347円)との比較では、まだ4円・1.2%の上昇にとどまっているものの、値上げ幅が10円を下回るのは「令和のコメ騒動」が本格化する前の2023年6月以来、約3年ぶりのことです。
この背景にあるのは、記録的だったコメ価格の落ち着きです。
2025年には一時5kgあたり5000円を超えたコメの店頭価格は、令和7年産米の流通が安定したことで、銘柄米でも2000円台前半まで値下がりする例が出てきました。
野菜類も、一部で高値が残るものの、たまねぎなど多くの品目で入荷が安定し、割安感が出始めています。
帝国データバンクの見通しでは、2026年7月のカレーライス物価は347円前後まで下がる見込みで、これは2025年8月以来11カ月ぶりの安値水準になるとしています。
3. その一方で、食品全体は「値上げラッシュ」が本格化
カレーの材料費が落ち着く一方で、食品業界全体では正反対の動きが進んでいます。
食品主要195社を対象にした帝国データバンクの調査によると、2026年8月の飲食料品の値上げは合計2311品目でした。
前年同月(1262品目)から8割増と急拡大しており、調査を開始した2022年に次いで、8月単月としては過去2番目に多い水準です。
さらに、7月の2664品目に続いて2カ月連続で2000品目を超えたうえ、9月には今年最多となる4531品目の値上げが判明しています。
これは単月として2023年10月(4758品目)以来の高水準で、10月も2720品目と、前年に続いて3000品目に迫る規模が見込まれています。
2026年通年(1〜11月の判明分)の値上げ品目数はすでに1万8347品目に達しており、5年連続で年間1万品目を超えるペースです。
前年の実績(2万609品目)を上回る可能性も出てきました。
値上げの分野別では、ハムやソーセージなどの食肉製品、カップ麺、缶詰製品を含む「加工食品」が最も多く、通年で6667品目に達しています。
これは前年の通年実績(4791品目)を4割ほど上回る規模です。
だしやしょうゆ製品などの「調味料」(5197品目)、ビールや輸入ワイン、コーヒーなどを含む「酒類・飲料」(3274品目)が続きました。

