3. 貯蓄がなくても老後を「安全に逃げ切る」3つの処方箋
データが示す通り、単身世帯・二人以上世帯を問わず、貯蓄額がゼロという世帯は決して珍しくありません。
今後余裕が生まれて資産を増やせる人もいれば、退職金制度がなかったり、収入アップが見込みにくかったりして、貯蓄を増やすのが現実的に難しい人もいるでしょう。
大切なのは、貯蓄を一気に増やすことを前提にせず、今あるリソースで無理なく、安全に老後へたどり着くという発想に切り替えることです。
3.1 処方箋1:資産形成ではなく「細く長く月5万円を稼ぐ」仕組みをつくる
老後資金として「1000万〜2000万円の貯金」を目標にすると、途方に暮れてしまうかもしれません。
ここで、発想を少し変えてみましょう。
「65歳以降も無理なく月5万円を稼げる状態」をつくれれば、それはおおよそ1500万円の資産を持っていることと同じくらいの安心感につながります(年4%程度で取り崩す場合の目安として)。
- 大きな金額を運用することよりも、自分の「働ける期間」を延ばすほうが、確実に収入を生み出せます。
- 50代のうちから、60代・70代になっても体への負担が少なく続けられる仕事の候補を見つけておくことが役立ちます。
- 特別な資格を取って一発逆転を狙う必要はありません。さまざまな世代や職場環境に適応できる柔軟さや、健康を維持する意識のほうが、健康を維持する意識のほうが、長く働くうえでは大きな強みになります。
3.2 処方箋2:「老後2000万円」の呪縛を離れ、自分の「ミニマム数字」を知る
「老後2000万円不足」というフレーズをよく見かけますが、これはあくまで、会社員の夫と専業主婦の妻といった特定の平均的な世帯を前提にした一例です。
他人の平均値に振り回されるのではなく、自分自身の「最低限これだけあれば生活できる金額」を把握することから始めましょう。
- 日常のベースとなる「基本生活費」を1カ月あたりで正確に計算します。
- 将来もらえる年金の見込み額と、その最低生活費との差額を確認します。例えば年金が月10万円、最低生活費が月14万円なら、不足額は月4万円です。
- 「年金+労働収入+少額の取り崩し」の組み合わせで、収支をならすことを目指します。月4万円の不足であれば、処方箋1の「月5万円の労働」でほぼ相殺できる計算になります。
大きな貯金がなくても、毎月の収支をトントンに近づけることができれば、生活が破綻するリスクは大きく下げられます。
3.3 処方箋3:公的制度・社会保険を使い切る
「国や社会に頼ってはいけない」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、公的な支援制度などはうまく活用しましょう。
- 短時間労働者への社会保険の適用対象は、近年段階的に広がっています。社会保険に加入して働くことで、将来受け取る厚生年金額を少しでも底上げできる可能性があります。
- 失業時の給付金、リスキリングのための補助金、住まいの確保が難しくなったときの住居確保給付金や公営住宅など、国や自治体には多くのセーフティネットが用意されています。
- 老後の固定費の中でも大きいのが住居費です。高齢になってから賃貸を借りにくくなるリスクを見据え、家賃の安い地域への住み替えや公営住宅の活用、実家の整理などを早めに検討しておくと安心です。
4. まとめ
参考資料
和田 直子
