売上の7割を稼ぐ医療関連事業、新薬が特許切れを埋める構図
大塚の稼ぐ力の中心は、医療関連事業にある。
2025年12月期のセグメント別では、医療関連事業の売上収益は1兆7,442億円で連結の7割を占め、営業利益は4,453億円、営業利益率は25.5%に達した。飲料やサプリメントを扱うニュートラシューティカルズ関連事業などを大きく上回る収益性である。
この医療関連事業は、上期も前年同期比14.1%の増収と伸びを牽引した。ただし、その中身は一枚岩ではない。
会社の説明によると、多発性のう胞腎治療薬「サムスカ/ジンアーク」は米国で独占販売期間が終了し後発品が発売された影響で、売上収益は前年同期比▲33.9%の大幅減収となった。主力薬の一つが特許の壁に直面した形だ。
一方で、その穴を新薬群が埋めている。「レキサルティ」は同24.7%増、持続性注射剤「エビリファイ アシムトファイ」は同65.1%増と伸び、2025年に発売した抗APRIL抗体「ボイザクト」も加わった。
医薬品と聞くと、特許切れのたびに収益が揺れる不安定な事業というイメージが先に立つ。だが大塚の場合、一つの主力薬が失速しても別の新薬が穴を埋める形で、セグメント全体の増収が保たれている。単剤依存ではない収益構造が働いていると読み取れる。
過去5期で倍増した利益、厚い自己資本という論点
時間軸を広げると、収益力の底上げが見えてくる。
営業利益は2021年12月期の1,544億円から2025年12月期の4,793億円へと5期で3倍近くに膨らみ、自己資本利益率(ROE)は同じ期間に6.5%から12.6%へと切り上がった。医薬品業種の中央値は3.0%だが、この中央値は開発段階の赤字企業を多く含んで押し下げられており、黒字の大手と単純には比べにくい。それでも大塚のROEが業種の中で高い部類にあることは確かだろう。
研究開発費は年間3,528億円規模にのぼる。新薬パイプラインを絶やさないための投資であり、これを継続できる背景には分厚い自己資本がある。自己資本比率は72.3%と高く、財務基盤は厚い。
もっとも、負債をほとんど使わない財務が資本効率の面でつねに最適かどうかは、また別の論点として残る。
筆者コメント
同社の直近1カ月の株価と決算を重ねて見ると、「安定した大型株」というイメージだけでは捉えきれない姿が浮かび上がる。
収益の柱である医療関連事業は、主力薬の特許切れという逆風を新薬でしのぎ、全体では増収と高い利益率を両立させている。守りと攻めが同じセグメントの中で同時に走っている、とみえる。
もう一つ気になるのは、財務の使い方だ。自己資本比率は7割を超え、手元資金も厚い。一般には健全と映る姿である。
だが、負債の力をほとんど借りない財務が、資本効率の観点で最適かどうかは一概に言えない。年3,500億円規模の研究開発を続けられるのは、この分厚い自己資本があってこそでもある。
安全性と効率、その両にらみをどう取っていくのか。目先の株価の上下だけでなく、稼いだ資本をどこへ振り向けるのかという視点でも、この会社を追っていきたいところだ。
参考資料
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石津 大希