虐待親の特徴は、とにかく自分の気分で怒り狂うこと。いうのであれば「燃え上がった赤の炎」です。
「子どもがいうことを聞かなかった」「約束を破った」など理由はさまざまですが、虐待親は自分のストレスを、子どもに暴力を振るうことによって解消しているという共通点があげられます。
反対に、躾と称して多少の「お仕置き」をしている親は、燃え上がる赤い炎ではなく「静かなる青の炎」と言い換えることができるでしょう。
子どもの将来のために、親として今なにをすべきであるのかを冷静に考えることができているため、虐待親と違って大声で怒鳴ることは少ないはず。
冷静に叱っているから、多少のお仕置きをしたとしても身体中がアザだらけになるような状態にはなりません。
自分は「赤の炎」?それとも「青の炎」?
大人も人間です。家事や仕事でバタバタしている中、そこへ子育ても入ってくると、子どもの態度にイラっとなりついつい手をあげてしまいたくなるシーンもあるでしょう。
どんな親にも虐待をしてしまう可能性はあるので、今一度「自分はイライラして怒っているのか?」それとも「子どもの成長のためを思って厳しくしているのか?」を考える必要があります。
自分の力で生きていくことができる人間、善悪の区別がわかる人間を育てるためには、親が「どのように子どもを育てていくべきか」を学ぶ時間が絶対に必要だと感じています。
本当は親も苦しんでいる!
世間では、当たり前に「虐待する親が悪い!」と評価されがちですが、私は一概にそうはいいきれないと感じています。
親だって、できるなら我が子を奏でるように愛したい。優しい声で本を読み、1日を幸せな気持ちで終えたい。…本当は多くの親が、心の奥底ではこんな気持ちを持っているのではないでしょうか。
けれど、親自身も子どもの頃、なんらかの虐待を受けていたり、十分に愛されたりした体験がないことから「子どもへの愛情のかけ方がわからない」というケースもあるはずです。
今後世界的にも、児童への虐待防止活動や法律は、さらに厳しくなっていくことが予想されます。
「虐待している親が悪い」と一方的に理解してしまうのではなく、「親も苦しんでいるのだ」という多様性のある視点を持つことが、虐待親の減少につながると思えてなりません。
地域や保育・教育機関が密に連携し、親に「子どもの育て方」「叱り方」「褒め方」などの具体的な方法を教える場がもっと増えていけば、苦しむ親の逃げ場や居場所になるのではないでしょうか。
【参考】
「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)、平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数及び「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果」厚生労働省
広瀬 あゆみ