牛丼のイメージだけで、この会社は語れない。ゼンショーホールディングス(7550)は2027年3月期1Qの決算を発表し、大幅な増益に加えて通期の業績予想を引き上げた。これを受けて株価は週明けに急伸している。すき家やはま寿司を抱える外食大手に、いま何が起きているのか。直近1カ月の値動きと決算の中身から読み解いていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
この記事の3つのポイント
- 2027年3月期1Qは営業利益が58%増、純利益は89%増と大幅増益
- 通期の営業利益予想を1,020億円へ引き上げ、株価が急伸
- 牽引役ははま寿司とすき家。海外を含む外食チェーンの成長が背景
1カ月の上昇の末に、決算で一段高となった株価
直近1カ月の株価は、緩やかな上昇基調をたどってきた。調整後終値は7月10日の8,793円から水準を切り上げ、8月7日は10,475円となっていた。そして週明けの8月10日、株価は11,595円まで一段と上昇している。前営業日からは1割を超える上げ幅で、1カ月を通してみれば3割を超える上昇となった。
この一段高は、直前に発表された四半期決算と通期予想の引き上げを好感したものだ。直近時点のPERは33.6倍、PBRは6.59倍で、いずれも小売業の中では高めの水準にある。成長への期待が、株価に強く織り込まれていることがうかがえる。
2027年3月期1Qは営業利益58%増、純利益は89%増
決算の中身は、株価の反応にふさわしい強さだった。2027年3月期1Qの売上高は3,248億円で前年同期比16.8%増、営業利益は248億円で同57.5%増、経常利益は238億円、親会社株主に帰属する純利益は152億円で同89.2%増となった。売上の伸びを大きく上回る増益である。
会社の説明によれば、主力の外食チェーンで既存店売上が伸びたことが原動力だ。国内の「すき家」は既存店売上が前年比112.9%、「はま寿司」は同109.8%と好調に推移した。物価高で消費者の財布のひもが固い中でも、手頃な価格の外食への需要をうまく取り込んだ形だ。原材料や人件費の上昇という逆風がありながら、それを吸収して大幅な増益につなげている。
通期予想の引き上げが株価を押し上げた
今回の決算と同時に、会社は2027年3月期通期の業績予想を引き上げた。営業利益予想は従来の920億円から1,020億円へ、純利益予想は540億円へと上方修正している。前期の営業利益814億円からは、さらに2割を超える増益を見込む計算だ。
1Qの営業利益248億円は、この通期予想の4分の1程度に当たる。1Qとしては順当なペースだが、この先も好調が続くという会社の見立てが、上方修正の背景にある。株価の急伸は、足元の実績だけでなく、この通期見通しの引き上げに対する評価だと読み取れる。
筆者コメント
今回の株価の一段高は、1Qの数字の強さと、通期予想の引き上げが重なった結果だと見ている。とりわけ効いたのは、会社が自ら通期の利益見通しを上げてきたことだろう。外部が推計を引き上げるのではなく、当事者が上方修正に踏み切った点に、市場は素直に反応した。ただしPER33倍台という株価は、すでに高めの成長を前提にしている。ここから先は、上方修正後の数字に実績が追いついていけるかが問われる局面に入る。
