夫婦関係に問題が起きると、「妻が夫を立てて」と求められることが少なくありません。つまり、日常生活で妻が夫を褒め、立てる。家事育児はタイミングを見計らい、かわいく頼んで、ていねいに教える。相手の状況を観察して話すタイミングや話し方を変え、労わる。これらを女性側のみが求められるのです。
3人の子育てをしてきた筆者が思うのは、こうしたコミュニケーションを3歳までの子を育てる女性のみに求めるのは、酷ということ。なぜならこれらのコミュニケーション法は、“心身の余裕”がなければできないことであり、乳幼児育児中の女性には難しいからです。
現代の育児環境において大切なのは、「女性側にもできないことがある」「できないことはできない」と明確にすることではないでしょうか。
出産後に妻が必要最低限の日常生活を送れるようになるまで3年
「睡眠不足で仕事や勉強の効率が悪くなった」と感じたことのある方は、多いのではないでしょうか。1日睡眠時間を削るだけでも、普段通りの生活は送れませんよね。産後の女性は睡眠時間以外にも、食事、トイレ、お風呂…と必要最低限の日常生活が満足に過ごせません。
冷めたご飯をかきこみ、トイレさえも子連れで。お風呂は1日で一番体力を使い、1日中子どもから目を離せないので緊張状態にあっても、夜中は夜間授乳や夜泣きで何度も起きることに。「母親なら大丈夫なはず」というのは神話で、0~2歳児の子育て中は、気力・体力ともにギリギリな状態です。
3人をワンオペ育児する筆者が、「あれ、少しずつだけど心身に余裕ができ始めている」と気付いたのは、末っ子が2歳半頃のこと。上の子に見てもらえばほんの少しだけ目が離せ、安定して歩くようになり、自分で着替えに挑戦するようになってからです。
思い返せば、2人目も同じタイミングでした。1人目は初めてだったので、3歳を過ぎてから「少しだけ心身が楽になってきた」と感じたのを覚えています。
他人への思いやりのためにも、まずは心身の余裕を確保
そうはいっても、まだ2歳半。イヤイヤ期や危険も多いですが、筆者が少しずつ必要最低限の日常生活を過ごせるようになって初めて、夫とのコミュニケーションも変化しました。