65歳以上の高齢者の3.6人に1人が認知症またはその予備群(MCI:軽度認知障害)と言われる時代です。年金相談の窓口でも、ご本人の判断能力が低下してしまい、ご家族が途方に暮れるケースを何度も目にしてきました。
本記事では、MCIを含めた認知症リスクの現状を解説するとともに、老後対策の一環として「健康なうちに必ずやっておきたいこと」を専門家の視点でお伝えします。
この記事の3つのポイント
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年金受給額の実態と、在宅・施設別のリアルな介護費用 -
認知症による判断能力の低下が「年金手続き」に与える影響 -
元気なうちに家族と準備しておくべき3つの具体的な対策
1. 厚生年金のリアルな平均受給額「月20万円以上」受け取る人は全体の2割弱
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均受給額は月15万289円(男性16万9967円、女性11万1413円)です。国民年金受給権者の平均は月5万9310円です。
ただし、受給額は加入する年金制度や加入状況によって大きく異なります。厚生年金受給権者のうち、月20万円以上を受け取っている人が18.8%いる一方、10万円未満の人が19%を占めます。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均23.9万円です。夫婦世帯では配偶者の年金が一定額あれば、月20万円以上の年金が受け取ることができれば老後生活は安心だと考えるかもしれませんが、認知症を発症すると老後生活に大きく影響することもあります。
2. 65歳以上の「3.6人に1人」は認知症または軽度認知障害(MCI)
厚生労働省の「認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」によると、2022年時点の推計値では65歳以上の高齢者のうち、認知症は約443万人(高齢者の12.3%)、軽度認知障害(MCI)は559万人(15.5%)もいます。
数字が示す通り、高齢者の3.6人に1人は認知症またはその予備群という状態です。これは一部の特別な人だけの問題ではなく、誰もが直面しうる「大きな老後リスクの1つ」として強く認識しておくべきでしょう。
3. 介護施設入所で「月平均13.8万円」費用増加も!介護費用による老後家計への影響
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」(2024年度)によると、介護に要した費用(過去3年間に介護経験がある人が対象)は、住宅のバリアフリーなど一時的な費用の合計が平均47.2万円、毎月の費用が平均9.0万円です。
また、同調査では、在宅介護にかかる費用は平均月5.3万円ですが、施設に入所すると月平均13.8万円かかるという結果が出ています。認知症で介護が必要になった場合、年金が月20万円あっても毎月の生活が赤字になる可能性もあります。


