2026年8月6日の東京株式市場は3日ぶりに反落しました。前日5日の米国市場でハイテク株安となった流れを受け、国内でもキオクシアホールディングスや東京エレクトロンなど主要な半導体関連銘柄が売られています。

一方で、決算発表がピークを迎えるなか、内容が好感された銘柄には買いが向かいました。なかでも急騰したのが花王(4452)です。同社は前日5日に通期業績予想の上方修正と株主優待制度の新設を発表しており、これを好感した買いが殺到。株価は前日比+409円(+12.83%)高の3,597円まで買われ、この日の高値でそのまま取引を終え、年初来高値を更新しました。出来高も12,455,700株と、前日5日の2,981,000株から4倍以上に急増しています。

記事後半では年間チャートの動きもチェックしていきます。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 花王の中間営業利益は前年同期比38.5%増の958億円。土地売却益115億円を除いても843億円で、2019年以来、上期として最も高い水準
  • 化粧品事業は営業利益が3億円→58億円に急回復。日本の「Curél(キュレル)」は+27%、「KATE(ケイト)」は+14%と、市場全体(▲1%)を大きく上回る伸びに
  •  株主優待制度が新設され、株価は8月6日に年初来高値を更新する動き

2. 花王の中間決算は増収増益、その中身は?

2026年12月期中間期(2026年1月1日〜6月30日)の連結業績は、売上高が前年同期比7.8%増の8,719億円、営業利益は同38.5%増の958億円、最終利益(親会社の所有者に帰属する中間利益)は同32.3%増の657億円となりました。

グローバルコンシューマーケア事業の伸長と、ケミカル事業の収益性改善が主な要因です。実際、営業利益の増加額266億円のうち、グローバルコンシューマーケア事業が111億円、ケミカル事業が37億円を占めており、複数の事業がまんべんなく伸びた形です。

なお、営業利益には第1四半期に実施した土地売却による115億円の売却益も含まれています。この売却益を除いても営業利益は843億円(692億円→843億円、+約22%)となり、2019年(864億円)以来、上期として最も高い水準です。一時的な要因を除いても、本業の稼ぐ力自体が着実に高まっていることがうかがえます。

2.1 花王はどんな会社?5つの事業を展開する分散経営

花王は、衣料用洗剤や台所用洗剤などの「ハイジーンリビングケア事業」、スキンケア・ヘアケア製品(ビオレやバブなど)の「ヘルスビューティケア事業」、化粧品(キュレルやケイトなど)を扱う「化粧品事業」、業務用衛生製品の「ビジネスコネクティッド事業」という4つの消費財事業(これらを合わせて「グローバルコンシューマーケア事業」と呼びます)と、油脂製品や機能材料などを手がける「ケミカル事業」の、合わせて5つの事業を展開しています。

日用品から化粧品、素材ビジネスまで幅広く手がける分散型の事業構成のため、一部の事業が市場環境の影響を受けても、他の事業でカバーしやすい収益構造になっている点が特徴です。

2.2 化粧品事業を急回復させた「キュレル」「ケイト」

グローバルコンシューマーケア事業の中で特に目を引くのが、化粧品事業の急回復です。売上高は前年同期比10.5%増の1,310億円となり、営業利益は前年同期のわずか3億円から58億円へと大きく拡大しました。グローバルコンシューマーケア事業全体の営業利益増加額(111億円)のうち、化粧品事業だけで54億円を占めており、同事業の中では最大の伸び幅です。

花王が開示した決算説明資料によると、日本国内の「注力6ブランド」の売上高は前年同期比+13%(市場全体は▲1%)と、市場全体が伸び悩むなかで大きく上回る成長を遂げました。中でもスキンケアブランド「Curél(キュレル)」は+27%、メイクアップブランド「KATE(ケイト)」は+14%と、いずれも大幅増収です。花王は、キュレルについて新製品と季節対応のプロモーションが奏功したこと、ケイトについては新製品プロモーションによる認知拡大と流通側との売り場拡張が寄与したことを理由に挙げています。高級ブランド「SENSAI」も大きく伸長したとしています。

アジアでも、収益基盤強化が進んだ中国や、「KATE」「KANEBO」の育成に注力するタイの売り上げが牽引し、前年同期を大幅に上回りました。一方、欧州は「Curél」の展開強化を進めているものの、市場低迷の影響を受け、売り上げは前年同期を下回っています。

なお、ハイジーンリビングケア事業(衣料用洗剤・台所用洗剤など)も営業利益が36億円増加しており、化粧品事業とほぼ肩を並べる伸びを見せています。今回の増益は、化粧品事業の急回復だけでなく、複数の事業がバランスよく伸びた結果といえそうです。

この好業績を受けて株価は年初来高値を更新する動きとなったほか、花王は新たな株主優待制度の創設も発表しました。

3. 新設される株主優待をくわしく解説

花王は2026年8月5日、株主優待制度を新設すると発表しました。安定的な配当と自己株式取得を軸とする従来の株主還元方針を維持したうえで、これを補完する位置づけとしています。

対象となるのは、毎年12月31日を基準日として、100株以上を保有する株主です。初回の基準日は2026年12月31日で、通常であれば求められる「半年以上の継続保有(6月30日と12月31日の株主名簿に連続して記載されていること)」の条件は初回に限り適用されません。2026年12月31日時点で100株以上を保有していれば対象になります。

保有株数に応じた優待内容は以下の通りです(花王は2026年7月1日付で1株につき2株の株式分割を実施済みで、下記の株数は分割後ベースです)。

  • 1,000株以上(申込者全員対象): 10,000円相当の「化粧品セット」または「家庭品セット」のいずれか1つ選択
  • 400株〜999株(申込者全員対象): 6,000円相当の「化粧品セット」または「家庭品セット」のいずれか1つ選択
  • 100株〜399株(抽選制): 抽選制の優待企画に応募でき、当選した株主に同社製品がプレゼントされます

このほか、抽選で花王の現地開催イベントに参加できる優待企画も別途用意される予定ですが、詳細は今後案内されるとしています。

初回分の優待品は2027年6月以降をめどに順次届けられる予定です。

1,000株以上保有していれば、化粧品セットか家庭品セットのいずれか1万円相当を選んで受け取れる計算です。衣料用洗剤の「アタック」やシャンプーの「メリット」など、花王製品を普段づかいしている家庭であれば、日用品や化粧品にかかる出費を少し軽くしてくれる優待になりそうです。

なお、権利を得るには、原則として基準日の2営業日前(権利付き最終日)までに株式を購入し、株主名簿に記載される必要があります。正確な日程は証券会社などで必ずご確認ください。また、株主優待の内容や条件は今後変更・廃止される可能性がある点にも注意が必要です。