6. 「増やす」だけでなく「守る」視点を。50歳代からの新NISAは出口戦略も重要
積立投資のシミュレーションでは、常に右肩上がりで資産が増えていく前提で計算されますが、実際の金融市場は日々上下を繰り返しています。
50歳代から投資を始める際に気をつけたいのは、「資産を増やすこと」だけでなく、いざ老後を迎えた際の「取り崩し方(出口戦略)」です。
例えば、65歳になっていざ資産を使おうとしたタイミングで、たまたま金融ショックが起こり、株価が大きく下落してしまう可能性もゼロではありません。
このような時に、焦ってすべての資産を一度に売却してしまうと、せっかく育てた資産を大きく減らしてしまいます。
そこで知っておきたいのが、「定率取り崩し」という方法です。
必要な金額を都度引き出すのではなく、「毎年、資産残高の4%ずつを取り崩す」といったように一定の割合で売却していきます。
この方法なら、相場が下がっている時は売却する金額(口数)が自然と少なくなり、相場が回復した時の恩恵を受けやすくなります。
資産寿命を延ばすための有効な手段として、ぜひ覚えておいてください。
7. 若年層に広がる金融教育。親世代が今からできる「家族のマネー会議」
冒頭のデータにもあったように、現在の20歳代の多くは「資産形成」や「ライフデザイン」といった金融教育に触れています。
私たち50歳代が若かった頃とは、お金に対するリテラシーのベースが大きく異なっていると言えるでしょう。
これからの時代、親世代が子どもに一方的にお金の説教をするのではなく、フラットに情報交換をする「家族のマネー会議」が重要になってきそうです。
例えば、「クレジットカードを使って投信積立をすると、証券会社やカードの種類によっては毎月ポイントが還元されて、長期で見るとあなどれない差になる」といったお得な仕組みは、実は若年層の方が敏感にキャッチしているかもしれません。
子どもの金融知識から刺激を受けつつ、親からは「生活防衛資金の大切さ」や「想定外のライフイベントにかかるリアルな出費」といった人生経験に基づいた知恵を共有する。
そうすることで、世代を超えてお金に対する不安を減らし、家族全体の金融リテラシーを高めることができるはずです。
8. まとめ
新NISAを活用した積立投資は、早く始めて長く続けるほど、複利の力で時間を味方につけることができます。
たとえば50歳から老後資金2000万円を目指す場合、短期間で目標を達成しようとすると毎月の積立額が大きくなり、現在の生活の質(QOL)を下げてしまうリスクがあります。
資産形成において最も大切なのは、今の暮らしを楽しむ余裕を持ちながら、将来への備えをコツコツと続けることです。
貯金だけで資産価値を守ることが難しいインフレ時代において、「少額から」「無理のない範囲で」「長く続ける」という基本原則は、すべての人に共通する有効な戦略です。
まずはご自身の公的年金の見込額を確認し、ベースとなる生活資金を把握した上で、余裕資金を新NISAに回す。
そんな現実的でバランスの取れた資産形成を、この夏からじっくりと計画してみてはいかがでしょうか。
9. 筆者からのコメント
投資においては「増やす」だけでなく、「どう使いながら守るか」という出口戦略が重要です。
相場が下がった時は少なく、上がった時は多く売却できる「定率取り崩し」は、資産寿命を延ばす有効な知恵です。
働き方が多様化するいま、若年層も投資やポイントなどの最新トレンドに敏感になっています。
親からは人生経験に基づくリアルな出費への備え方を伝え、子ども世代からは最新トレンドを教わる…。
そんな世代を超えた「家族のマネー会議」をご家庭で開くことで、老後に困らないための現実的な策が見えてくるかもしれませんね。
