ニュージーランドで、幼児期に徹底的に叩き込まれるのが、「シェアリング(共有すること・分け合うこと)」です。ことあるごとに、大人は皆子どもに「シェアしなさい!」と口を酸っぱくして言います。

それはシェアリングを非常に重要なライフスキルと考えているからです。シェアリングを身につけるのは、妥協と公平を学ぶのと同じこと。さらに、いったん手から離れたものをどうやってまた返してもらうかという交渉術の習得や、交代しても再び順番はめぐってくることの理解にも役立ちます。

もっとも、シェアしたものの、時には返してもらえなかったり、順番が回ってこなかったりすることもあります。そんな場合を利用し、残念な結果に終わる可能性もあることや、どう気持ちを整理するかのスキルを教えます。

また、子どもが何か悪いことをした時、親は皆の前で子どもをしかりません。少し離れた、人目につかないところに連れていき、何がいけないのか、どうすべきなのか、視線を合わせて子どもを諭します。子どもであっても、プライドを傷つけるべきではないという考えがあってのことです。

法律で禁止されている「体罰」

一般的なしつけ方法とされる向きもある一方、ニュージーランドで法律上禁止されていることがあります。それは「体罰」です。体罰を受けると、子どもは精神的な安定感を失うからというのが主な理由です。

しつけと称しながら、実際は虐待というケースもあり、子どもを守るのにも一役買っています。とはいうものの、施行されてから10年以上が経った今も、賛否両論入り乱れています。

こんな風に「所変われば『育児』は変わる」もの。おまけに、「子育てに正解はない」ということもよく耳にします。あっちのいいところ、こっちのいいところを取って、足したり引いたりしながら、自分流の子育て法を探すしかなさそうです。そうやって編み出した方法こそが、自分と子どもにとって一番なのに違いありません。

クローディアー 真理