今年度の住民税や国民健康保険料などの社会保険料の納付書が届き、日々の生活支出の管理がより難しくなっている人もいるでしょう。生活がままならない場合は、生活保護を利用できる可能性もあります。
生活保護を受給する世帯の半数以上は、単身の高齢者です。そして、65歳以上の単身世帯の家計は平均でも約3万円の赤字と、決して余裕のある状況ではありません。
生活保護費は月あたりいくらで、私たちはどのように老後生活に向けて備えていけばよいのでしょうか。この記事では、生活保護の受給額の試算や保護世帯の内訳などを解説します。
1. この記事の3つのポイント
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生活保護世帯の半数以上(51.7%)は単身高齢者世帯 -
年金を受け取りながらでも、最低生活費に満たない分は生活保護費として受給できる -
65歳以上単身無職世帯の家計収支は、平均で月2万9980円の赤字
2. 生活保護世帯の半数以上が「単身高齢者」
厚生労働省の「被保護者調査」によれば、2026年4月時点で生活保護を受けている人は197万2071人、世帯数は163万2726世帯(保護停止中を含まない)となっています。世帯の内訳を見てみましょう。
- 高齢者世帯(単身):84万4861世帯(51.7%)
- 高齢者世帯(二人以上世帯):5万9292世帯(3.6%)
- 母子世帯:5万5253世帯(3.4%)
- 障害者・傷病者世帯:41万5320世帯(25.4%)
- その他世帯:25万8000世帯(15.8%)
生活保護世帯の半数以上を高齢者世帯が占めています。単身の高齢者世帯でも51.7%と半数を上回っている状況です。
高齢になると、若いときに比べて健康状態が思わしくないことが増え、働いて収入を増やすのが難しくなります。とくに単身世帯の人は頼れる家族が身近にいないケースもあるため、年金収入や貯蓄が少ないと暮らしに大きな影響を及ぼします。
次章では、年金と生活保護の併給について解説します。
3. 年金を受け取りながら生活保護を利用できる?
年金を受給していても、生活保護を利用できる可能性はあります。ただし、生活保護費は年金受給額によって変わると考えておきましょう。
生活保護費は、地域や世帯人数、年齢によって支給金額が異なります。基本的には、居住地ごとに定められる「最低生活費」から収入を差し引いた金額が支給される仕組みです。
たとえば、最低生活費が13万円の場合、年金受給額別に受け取れる生活保護費を見てみましょう。
- 年金月額5万円:生活保護費8万円
- 年金月額7万円:生活保護費6万円
- 年金月額10万円:生活保護費3万円
- 年金月額13万円:生活保護費0円
上記は年金収入のみの場合で計算しましたが、このほかの収入がある場合は、それらも収入認定され、生活保護費からは差し引かれます。
また、実際に生活保護を受ける際は、年金の受給を始めとした以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
- 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
- あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
- 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。
上記の4つを満たしても収入が最低生活費に届かないと判断された場合に、初めて生活保護を利用できる仕組みです。
次章では、65歳単身者の生活保護費をシミュレーションします。
4. 【試算】65歳・一人暮らし・年金月7万円なら保護費はいくら?
では、生活保護費はいくら受給できるのでしょうか。今回の試算では、65歳・単身世帯を例に計算していきます。諸条件は以下のとおりです。
- 東京23区(1級地-1)在住
- 収入は年金月額7万円(控除後)のみ
- 家賃は月額5万3700円
- 障害者加算や冬季加算などは考慮しない
上記を踏まえて、まずは最低生活費の金額を計算してみましょう。
- 生活扶助:第1類+第2類+特例加算+経過的加算
=4万6460円+2万7790円+1500円+1130円=7万6880円 - 住宅扶助:5万3700円
- 合計:13万580円
最低生活費は13万580円です。
今回の試算では年金収入が月額7万円あるため、実際に受け取れる生活保護費は、以下のようになります。
- 13万580円-7万円=6万580円
毎月6万580円が生活保護費として受け取れ、年金とあわせて最低生活費が保障される形です。
なお、生活扶助は居住地域に応じて国が定める「級地」によって扶助額が変わります。1級地は金額が高く、2級地、3級地の順で金額は引き下げられていく仕組みです。
また、生活扶助の特例加算は現在1500円で設定されていますが、2026年10月から物価状況を考慮して2500円に引き上げられる予定です。
そして、住宅扶助については、基準額の範囲内で実際の家賃に応じて金額が決まります。東京23区のような1級地では最大5万3700円までの扶助ですが、中核市や地方都市では扶助上限が引き下げられます。
次章では、単身シニアの生活状況について解説します。
5. 【月3万円の赤字】単身シニアの生活状況
総務省の「家計調査」によれば、65歳以上の単身無職世帯の収支は、以下のとおりです。
- 実収入:13万1456円
- 非消費支出:1万2990円
- 可処分所得:11万8465円
- 消費支出:14万8445円
- 差額分:▲2万9980円
税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得より、消費支出が月2万9980円多くなっています。もし同じような不足が10年続けば、合計で360万円もの赤字となります。
この結果から、生活保護費の有無にかかわらず、老後の家計管理は決して余裕のあるものではないことがわかります。
まずは老後への備えを適切に用意することが重要です。前述のとおり年金受給者でも生活保護は利用できるため、備えや生活できるだけの収入がなく、生活がままならない場合であれば、生活保護の利用を検討してみるとよいでしょう。
次章では、生活が苦しくなる前に確かめておきたいポイントを紹介します。






