1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 相場の地合いと株価動向: 米国・韓国の半導体安で資金が「ディフェンシブ株」へ流出し、PPIH株が4%超の大幅高で4日続伸した背景
  • 業績推移と成長戦略: 節約志向を捉え第3四半期は増収増益を達成、Olympicグループの完全子会社化による首都圏での店舗網拡充
  •  株主優待制度の最新ルール: 株式分割で買いやすくなった「majicaポイント」と、新たに加わった「体験型株主優待メニュー」の内容  

 

29日の東京株式市場は続落となりました。

前日の米国市場におけるハイテク株安の流れを受けたほか、半導体株比率の高い韓国総合株価指数(KOSPI)で午後にサーキットブレーカーが発動するなど、半導体関連銘柄を中心に売りが先行しました。

マーケットでは「半導体売り・ディフェンシブ買い」の対比が鮮明化しており、これまで出遅れ感のあった小売りやエンタメなど、内需・ディフェンシブ銘柄を物色する動きが加速しています。

なかでも、「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH:7532)は前日比4%超の大幅高となり、4日続伸して取引を終えました(終値964.6円)。

背景には、長引く物価高による消費者の「生活防衛意識」の高まりがあります。

相次ぐ値上げのなかで節約志向を強めるニーズを確実に捉えており、今後の業績拡大への期待が膨らんでいます。

また、前日に発生した熊本地震による店舗への大きな被害報告が現時点でなかったことも、買い安心感につながったとみられます。

2. 2026年6月の既存店売上高は微減も累計ではプラス維持、客単価は前年同期比1.7%増

同社が10日に発表した2026年6月度の月次売上高は、国内リテール事業の既存店売上高が前年同月比0.7%減と前年を下回りました。ただ、通期累計では+4.6%とプラス圏を維持しています。

6月度は天候不順による季節品の苦戦に加え、前年のゲーム機発売の反動減や休日減(▲1.5%影響)が響きました。

客数は前年同月比▲2.4%減少したものの、トレンド品やコラボ商品の寄与で客単価は同1.7%増とプラスを維持。全店売上高は同1.5%増でした。 

2.1 2026年6月期第3四半期は増収増益を達成、Olympicグループの完全子会社化も完了

同社の直近における業績推移は非常に力強いものとなっています。

5月13日に公表された2026年6月期第3四半期(累計)連結決算は以下の通りです。

  • 売上高:1兆8,265億円(前年同期比8.2%増)
  • 営業利益:1,375億円(同6.9%増)
  • 純利益:939億円(同23.8%増)

業績を後押ししたのは既存店の伸びです。

中東情勢を背景とした消費者の節約志向に対し、スピーディーな価格施策を打ち出したほか、免税売上の拡大が大きな力となりました。

利益面に関しても、セルフレジの運用や従業員のマルチタスク化を進めたことで労働生産性が高まり、人件費をはじめとする販売管理費全体の抑制へつながっています。

売上高は当初の想定を上回る水準で推移しており、営業利益についても通期目標の達成に向けた実現性が高まってきました。ただし、先行きが見通せない中東情勢のリスクを考慮し、通期の業績予想数値については変更せず据え置く判断をとっています。

さらに今後の成長基盤を強固にする施策として推進されたのが、Olympicグループとの経営統合です。株式交換による完全子会社化の手続きを7月1日に終え、大きな潜在需要が見込まれる首都圏での店舗網を一気に拡充させました。

今後は、長崎屋やユニーの事業再建において蓄積したノウハウをフル活用していきます。

立地に恵まれた同グループの店舗を「ドン・キホーテ」や食品カテゴリを強めた新フォーマット「ロビン・フッド」へと順次リニューアル。

最重要地域に掲げる首都圏での市場占有率を高めるとともに、グループ間での相乗効果を最大限に引き出す方針です。

3. 優待は電子マネー「majica(マジカ)」のポイント

パンパシHDの株主優待は、持っている株の数に応じて、グループのお店で使える電子マネー「majica(マジカ)」のポイントがもらえる仕組みです。

優待は年に2回もらうことができ、毎日の食費や日用品の買い物にそのまま使えるため、「実用的で助かる」と投資家の間でも好評です。

さらに、2025年12月末権利分からは、新設された「株主様専用ページ」を通じて、ポイント付与に加えて新たに体験型の優待メニューも提供されています。

ただし、直近の権利確定は2026年6月26日(金)ですでに過ぎており、次回は12月末になります。

3.1 【2026年12月末基準】

12月28日(月)権利付き最終日 / 12月29日(火)権利落ち日 / 12月30日(木)権利確定日

4. 【保有株数別】もらえるmajicaポイント

優待がもらえる「権利確定」は6月末・12月末の年2回、チャンスがあります。

4.1 100株以上 〜 300株未満

majicaポイント 300円分(年2回 / 年間600円分)

4.2 300株以上 〜 500株未満

majicaポイント 1,000円分(年2回 / 年間2,000円分)

4.3 500株以上

majicaポイント 2,000円分(年2回 / 年間4,000円分)

これらの優待を受けるためには、それぞれの権利確定日(6月末・12月末)時点で、1単元(100株)以上の株を持っている必要があります。

また、進呈されたポイントの受け取りや、新しくなった株主専用の各種サービスを利用するには、スマートフォンアプリの「majicaアプリ」への会員登録が必要になりますので、あらかじめ準備しておくとスムーズです。

4.4 2025年12月末権利分からの変更点

同社の株主優待は、2025年10月1日に行われた「1株を5株にする株式分割」をきっかけに、2025年12月31日を基準日とする分から内容が新しくなりました。

以前の制度(2025年6月末の基準日まで)では、100株以上持っていれば誰でも一律で2,000ポイント(年間4,000ポイント)がもらえていました。

新しい制度では、株をより買いやすい価格に引き下げて多くの人に株主になってもらうと同時に、持っている株数に応じた段階的なポイント付与(300ポイント、1,000ポイント、2,000ポイント)に整理されています。

さらに、2025年12月末の基準日からは、パンパシHDのファンになってもらうための「体験型株主優待メニュー」が新しく加わりました。

新しい特典では、グループ店舗でのお買い物金額に合わせて、人気のプライベートブランド「情熱価格」の商品と交換できる「デジタルスタンプカード」が用意されています。500株以上を保有している株主ならスタンプが2倍貯まる特典もあります。

このほかにも、自社イベント(「ドンコスフェスティバル」やPB商品の体験会、目黒川でのお花見会など)への抽選招待や、ドン・キホーテ名物の手書きPOPライターがデザインしてくれる「手書きPOPメッセージカード」のデジタルプレゼントなど、ユニークな企画がラインナップされています。

全国の主要都市で開催される「個人株主向けIR Day」への抽選招待もあり、企業をぐっと身近に感じられる魅力的な優待プログラムへと進化しています。

5. パンパシHDの7月29日終値は964.6円

パンパシHDの29日の取引概況ダイジェストです。

  • 株価(終値):964.6円
  • 前日比:+4.42%
  • 出来高:20,441,100株
  • 売買代金:19,641百万円
  • PER(会社予想):26.94倍
  • PBR(実績ベース):4.21倍
  • 配当利回り:0.88%

5.1 パンパシHDの12カ月チャート

過去1年間の株価推移の概況は以下の通りです。

株価は2025年8月19日に上場来高値1,139.4円、2026年3月11日には年初来高値1,067円をつけました。その後、第3四半期の決算発表を終えての材料出尽くし感や、半導体・AI関連株への資金流入などで、7月1日に年初来安値794円まで値下がりしました。

直近は900円台を回復して推移しており、次の心理的節目である1,000円を奪還できるかが注目されます。

パンパシHDの12カ月チャート1/1

パンパシHDの12カ月チャート

出所:各データより筆者作成

6. 筆者コメント

ハイテク株からの資金シフトや節約志向の高まりを受け、PPIH(7532)の強みが改めて買い材料視されています。

長引く物価高を背景とした「生活防衛意識」を確実に捉える商品提案に加え、オペレーションの効率化によって足元の業績は非常に堅調な推移を見せています。

また、株式分割により投資しやすい水準となった株主優待制度も魅力です。

定番の「majicaポイント」に加えて新設された体験型特典など、株主還元への意欲的な姿勢は投資家にとって魅力と言えるでしょう。

株価は安値圏からの立ち上がりを見せており、次の心理的節目である1,000円大台を回復できるかが今後の大きな焦点となりそうです。
 

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください

参考資料

高原 祥子